稼働時間を合理化する

会計事務所は比較的稼働時間の割合が高い業界です。
この時間の合理化効果は大きいため、多くの会計事務所で稼働時間の合理化や更にはテクノロジーを活用した自動化に取り組まれている事でしょう。
ここでは、稼働時間の合理化に関する具体的な改善視点についてお伝えします。是非お読み下さい。

稼働時間とは何か?

別のコンテンツ生産性向上の考え方と工数分析では稼働時間の例として次のような項目をあげました。

・監査面談(税務監査・報告・相談対応など)
・所内監査
・記帳代行作業
・決算・申告書作成
・コンサルティング(MASなど)
・調査立ち合い
・契約外業務で対応せざるを得ないもの など

これらは、会計事務所の付加価値を生む時間であり、かつ税務品質を担保しなければならないものです。

私どもは税務は専門外です。しかし経営コンサルタントとしてあらゆる業種・職種の生産性改善を考えてきましたので、その視点でいくつかのテーマをご一緒に考えたいと思います。
税務品質の担保は皆様が考慮にいれて頂いた上で、稼働時間の合理化をひとつずつご一緒に考えて頂ければと思います。

稼働時間を合理化する視点(人の改善とテクノロジー)

稼働時間の合理化については、人の思考・行動の合理化とテクノロジーによる合理化の2つの手段で考えるべき時代になってきたようです。
その2つの視点を持って、ひとつずつご一緒に考えましょう。

(1)監査面談

監査面談は監査担当者の主業務で、税務監査・報告・相談対応などを指します。 監査面談では、税務品質と面談品質の両方を満たさなければなりません。
(※面談品質とは、社長や経理担当者の満足度を確保するための品質を指します。)

とは言え、そこに過剰な時間を投下すると生産性は大きく低下します。
監査面談については、顧問先に起因する問題と会計事務所に起因する問題があるようにお見受けします。

①顧問先に起因する問題

まずは長時間の滞在を好む顧問先についてです。監査担当者から次のような話をお聞きします。

●長話の顧問先があって困る
●とにかく質問や要望が多くて・・・

中には、監査担当者と会って話すのが楽しみで仕方ない顧問先もいるようですね。
またこのような話もお聞きします。

●現地での間違い探しが多くて時間が長引く
●資料が準備されてなくて手待ちが発生する

中には、

●長年、資料回収と報告の2回訪問する習慣がついている

という話もお聞きしました。

特に歴史のある事務所では、上記のような関係性が代々の担当者で引き継がれ、現在 の担当者単独では解決できないケースもあります。

これらの問題について、顧問先にイノベーションして頂くのは可能でしょうか?
結論、なかなか難しいですよね?
という事は、会計事務所の方がイノベーションして、上手に顧問先をリードしなければならないという事ではないでしょうか?

②会計事務所側の対応

上記のような顧問先に起因する問題も上手に対応してリードしている会計事務所も多いものです。

●資料準備や疑問事項を事前に連絡して準備してもらう
●顧問先の質問事項なども事前に教えてもらう
●中途半端な自計化は再教育して、難しければ有料で代行する
●面談設計をして時間コントロールをする

このような取り組みです。

また、ベテランの方はこのような事を当然やっているけど「新人さんがいつも顧問先に振り回されている」というケースもあります。
面談業務の準備と面談時のあり方について再教育してみる価値はあるかもしれません。

③テクノロジーの活用

監査面談において徐々に活用が進みつつあるテクノロジーには次のようなものがあります。

●web会議の活用
●チャット・メールを中心とした報告と質疑応答 など

これらは、若い社長しか難しいかもしれませんが、徐々に広がっているようです。
web会議の活用は、移動時間の短縮はもちろんですが、実は「面談時間の合理化」 にも効果がある手段です。双方が準備を充実し段取りよく面談が終わります。
最近は、クラウド会計はもとより各種クラウドの普及により、試算表がリアルタイム に見れるなど、会計事務所からの報告の形態が変わってきている感もあります。
中には、リアルでの面談は基本的に行わないという若手会計事務所も増えてきていますね。

(2)所内監査

会計事務所様は、訪問面談を効率的に行ったり、訪問しない契約の顧問先の監査を所内 で行っておられます。

この業務は、会計ソフトなどの機能をフルに使って効率的に行っておられるようです。
ただ、担当者によっては、心配性で時間過剰になっている方もいるようですね。
また、担当替えの際に十分な引継ぎがなされず、新担当者が実態を一から把握しなおさなければならないこともあるようです。

一般的に効率的に所内監査を行う事務所では人的な努力として、次のような取り組みをされています。

●顧問先カルテで監査ポイントを明示する、それを引き継ぐ
●そのカルテに、目標時間を書き、それを目標に業務に取り組む
●その目標は新人・中堅・ベテランとスキルによって変えている

皆様の事務所ではどのような努力をしておられますか?

(3)記帳代行作業

記帳代行作業は様々な手段で合理化に取り組んでおられます。
アウトソーシングや集中処理組織の編成から始まり、合理化・自動化の流れへと進んでいるように思います。

この業務の付加価値は年々低下していく事でしょうから、徹底した合理化やアウトソーシングの活用を検討していくべきかもしれませんね。

●海外・国内の記帳代行会社にアウトソーシング
●自動化可能なクラウド会計の活用
●AIの組み込まれたOCRとRPAで紙情報のデータ化

  

最近はテレワークを活用した記帳代行もあるようです。
コンプライアンスを遵守しつつも会計入力に関するのイノベーションは加速しなければならないでしょう。

会計事務所が抱える機会損失について

稼働時間の業務に「契約外業務で対応せざるを得ないもの」と記載しました。 例えば次のようなものです。

●自計化契約だが職員が仕訳入力している
●自計化だが修正が多く時間がかかる
●売掛金・買掛金の残高合わせをしている
●受取手形・支払手形の残高合わせをしている
●金融機関向けの資料作成を無料でしている
●社長が欲しい管理資料を無料で作っている

 

これらの業務に要する時間は、会計事務所の生産性を大きく阻害する内容です。
これらは、時間短縮という視点以外に、無償サービスを有償化するという視点も必要です。

詳細は、別のコンテンツ稼働率を高めるで詳しくお伝えします。

最後に

会計事務所は、比較的稼働率の高い業種ですので、稼働時間の合理化の効果は大変おおきなものになります。
人的サービスの革新と共にテクノロジーを活用した改善などを適切に組合せて生産性を高めて頂きたいと思います。