【特集記事】会計事務所をベースにコンサルティング業務で急成長

税理士法人ブラザシップ・株式会社ブラザシップコンサルティング様は愛知県・東京都で会計事務所業務とコンサルティング業務を展開されています。

2009年に代表の加藤先生が愛知県小牧市で職員1人の状態から開業され、現在は3拠点・30人規模の法人へと急成長されています。

監査担当者全員がMASに取り組んでおられ、高品質な税務とMASを提供し、現在では資本政策やM&Aなど高い専門性が必要とされるサービスも手掛けておられます。
インターフェイス主催の全国大会でも指導成果部門・営業成果部門の両方で最優秀賞を獲得されるなど、ハイレベルなサービスと拡大はどのようにして実現できたのか、代表社員の加藤先生にお話を伺いました。


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生産性向上のベースとなる組織風土をつくる

会計事務所は人材が付加価値を生むビジネスですから、働く人のマインドと能力・業務への取り組み方で大きく生産性が変わります。
この点に配慮を下うえで生産性向上を考えないとなかなかうまくいかない側面があります。
ここでは、生産性向上のベースとなる組織風土の作り方についてお伝えします。是非お読み下さい。

生産性向上に取り組むマインドは醸成されているか?

会計事務所の多くの経営者は生産性向上が不可欠であるとお考えだと思います。

では、職員様の本音はどうでしょうか?
会計事務所業界でも生産性向上に対する意識は高まっているとは感じていますが、もしかすると次のような気持ちを持った方はいないでしょうか?

●今でも一生懸命頑張っているのに、これ以上生産性を高めるのは無理だよ!
●今までのやり方を続ければそれでいいのでは?
●顧問先の実態を考えると、生産性向上なんて難しいですよ!
●専門知識を学べ、それを活かせる仕事だから会計事務所に就職したのに、工場みたいに 生産性向上に取り組まなくてはならないの?

また、良かれと思って生産性向上のために、製販分離や業務の自動化に取り組んだのに、

●人の退職が発生した
●職員のモチベーションが下がった気がする

という話をお聞きします。

「方針に沿わない職員は辞めてもらってよかったよ」というのも一理あります。
組織のイノベーションに際しては人材の新陳代謝もやむを得ないというのも事実です。

しかし会計事務所は、コストをかけて人を採用し、一生懸命人材育成に取り組み、数年かけてやっと稼げる人材になっていくモデルであり、育てた人材の退職は事務所の成長に大きなダメージを与えます。

もちろん、経営者として職員に迎合するのは良くありません。
しかし職員の共感を醸成しながら生産性向上に取り組む方が経営者・職員双方にとってハッピーな結果を生む事は間違いありません。

会計事務所は、「働く人が知的サービスを提供して付加価値を稼ぐ」ビジネスモデルです。
知的サービスの生産性は「人のマインドが生産性に大きな影響」を及ぼします。
これは、各種の専門サービスやシステム開発・クリエイターなど他の職種でも全く同じ傾向にあります。

「生産性向上に取り組むマインドは醸成されているか?」この点は会計事務所の生産性向上に大きく影響するテーマです。

生産性向上の目的・目標は何か?

生産性向上に職員が意欲的に取り組む事務所とそうでない事務所にはスタート地点で大きな相違点があります。
職員が意欲的に生産性向上に取り組んでいる事務所には次の特性があります。

●生産性向上を実現できた時、働く人はどうなるのかという目的が明示されている
●生産性向上とは、定量的にどのような状態を目指すのかというゴールが明示されている

(1)生産性向上の目的明示

生産性向上が実現できた際には、捻出した時間を何に使うのでしょうか?
もちろん、経営的な視点では「空いた時間でもっと担当を多く持ってもらいたい」「付加価値業務で稼いで欲しい」というのが本音だと思います。

一方で、生産性向上の「働く人にとっての価値」も併せて明示する方が職員も本気になって取り組むマインドが醸成されます。

事務所経営のメリットと職員の人生の充実や働きがいの両面を満たせるような「生産性向上の目的の設定」をして頂いては如何でしょうか?
事務所の方針と職員のニーズにもよって、例えば次のようなものが考えられますね?

生産性向上の目的の設定

このような目的の設定について、職員と十分に話し合い納得感を醸成した上で改善活動に取り組まれるべきだと思います。

(2)生産性向上の定量的目標の明示

生産性向上の活動に取り組んでおられる事務所に、よく次の事をお聞きします。

●生産性向上とは、どのくらいの時間チャージを目指しておられますか?

案外、この問いに明確にご回答頂けないケースが多く見られます。

●まず製販分離に取り組むんだよ。
●マニュアルを作るのが先でしょう?

これは大きな間違いであると言わざるを得ません。
製販分離もマニュアル作成も「手段」にすぎません。

●製販分離より、監査担当者にアシスタントを付けた方が生産性が向上する
●マニュアルよりもトレーニングの方が実効性が上がる

といった組織もあるのです。
その場合は、製販分離やマニュアル化よりも、上記のような施策を取る方が賢明です。

生産性向上のために、まず取り組むべき事はどの位の生産性を実現するのかというゴールです。
そのゴールに向けて最も有効な施策を講じるのが生産性向上の原則です。
製販分離やマニュアル化が有効な場合も、

 ●現在の人時生産性をどのくらい向上させる為の活動なのか?

という目的・目標を先に設定する事が重要です。

定量的な生産性目標の設定については、会計事務所の人時生産性の実態と目標をお読み頂き参考にして頂ければ幸いです。

生産性向上活動の正しい進め方

これまでお伝えした内容をまとめ、職員の生産性向上に向けた意識を高めて実のある活動を展開するためのプロセスは次のようになります。

①目的を明示する
 :会計事務所経営とそこで働く職員双方にとって価値のある活動目的を設定する
②目標を仮設定する
 :目標とすべき人時生産性や関連する指標について仮設定し共有する
③実情を把握する
 :工数データを採取・分析し、改善すべきテーマと指標改善のレベルを共有する
④目標の本設定をし、GAPを埋める施策を考える
 :現状を踏まえた適切な目標を本設定し、改善のための施策を立案する
⑤PⅮCAサイクルを回す
 :改善策を実行し、効果性を指標で評価し、見直すというPⅮCAサイクルをまわす。
⑥改善成果を職員の働き方や報酬に反映する
 :目的に沿って、徐々に職員の多様な働き方ができるように組織運営を変革する。

最後に

会計事務所の生産性向上のためには、根気強い取り組みが必要です。
その為には、職員が生産性に取り組む意欲を喚起し、それが当たり前と思うような組織風土づくりが不可欠です。
生産性高上の正しい取り組みによって成果を勝ち取って頂きたいと思います。

付加価値を高める

稼働率が高まり、稼働時間の合理化で時間捻出ができたら、サービスの高付加価値化に取り組まれると生産性は大きく向上します。
まずは、会計事務所の特性である過剰サービスの削減・有償化に取り組み、その後に新たな高付加価値サービスを展開して頂きたいと思います。
ここでは、生産性を飛躍的に高める高付加価値化についてお伝えします。是非お読み下さい。


付加価値を高めるというテーマについては、高付加価値化3つの展開軸というコンテンツでも概要をお伝えしていますが、ここでは少し詳しく考えてみましょう。

機会損失をなくす

会計事務所では提供するサービスの範囲が曖昧で、「顧客の意向に沿って何でもサービスしてしまう」という傾向があります。これらの業務を一度見直してみましょう。

(1)契約外業務を洗い出す

次のような業務を無償で提供している事はないでしょうか?

☑チェック
□本来、会計入力は顧問先が行う契約だが職員が「会計入力の代行」をしている
□会計入力はしてくれているが、極めて修正が多く時間がかかる(中途半端な自計化)
□売掛金・買掛金の残高がいつも合わず、その確認・修正に時間がかかる
□手形の残高がいつも合わず、その確認・修正に時間がかかる
□銀行に提出する資料を無償で作って提供している
□社長が見たい資料の作成を無償で作って提供している
□資金繰り表を無償で作って提供している
□社労士・弁護士の領域の質問が多く、調査時間をかけて情報提供している。

他にも契約外と思われるサービスがあれば、是非書き出してみて下さい。 色んな無償サービスを提供していないでしょうか?
「顧問料は定額」なのに「サービスは顧問先の意向で増えてしまう」という事が積み重なると、当然、稼働時間が増えてパフォーマンスが落ちる事になりますね。

(2)契約外業務が増える要因

これらの無償サービスが発生する要因には次のようなものがあります。

●商談の時に「何でもやりますよ!」というトークで契約している
●顧問先と担当者の間で、暗黙のうちに無償サービスが発生している(直接接触する担当者が断れない)
●代々の担当者が無償サービスを提供し、それが習慣になっている

これを長年放置すると少し誤った組織風土が出来上がってしまいます。

●顧問先が望むサービスは時間をかけてでも提供するのが当たり前
●だから、時間がないので新しい顧問先は受けられない
●生産性よりも顧客の望むことを優先するのが当たり前

このような組織風土が出来上がる一つの背景に、次のような会計事務所の特性があります。

●会計事務所のサービスは、担当者が設計・提供・検査を一人で行う
●毎月会うのは担当者で、顧客評価も自分が直接受ける

これらの業務のあり方と組織風土を、どこかのタイミングで、整理して適正な契約関係に戻す必要があります。

(3)契約外業務を減らし、機会損失を無くすために

ここでは、インターフェイスの会員事務所様の生産性改善活動の中で効果が認められた内容をお伝えします。

①契約外の会計入力代行や、会計入力の精度が低い顧問先の対応について

この点は、顧問先・会計事務所がそれぞれに行う業務をしっかり決め直して、従来通りの顧問料でよいか追加の顧問料を頂くべきかを判断しなければなりませんね。
対象先の識別と対策の方向性は概ね次のようになるでしょう。

識別と対策の方向性

どの対象先も、中途半端な状態にせず「顧問先に合わせて最も合理的な対策をとって、 それを徹底する」という事で重要です。

②売掛・買掛残高や手形残高の不突合が多い顧問先の対応について

これらは、顧問先自らが経営管理の為に行うべき項目で、これらの管理が不完全な場合、機会損失が発生したり信用リスクを抱えた経営をする事になってしまいます。
従って、自力で管理できる状態ができるように支援するのが本来の姿でしょう。
各種管理システムの導入をご支援したり、システム導入済みの企業にはその適切な使い方を支援する事になるでしょう。
その上でどうしても残高の不一致が多く確認作業をせざるを得ない場合には、しかるべき顧問料を上乗せして頂くべきだと思います。

③銀行提出資料や経営管理資料・資金繰り表の作成代行が多い顧問先の対応について

これらの点は、経営者が経営管理上不可欠であると考えている項目で、本来顧問先の経理担当者や総務担当者か社長自らが作成すべきものでしょう。
フォーマットを作って提供し、短期間その入力をしてフォーマットの妥当性を検証して差し上げるのはやむを得ないと思います。
また、様々なテーマのクラウドが出来ていますので、その情報を提供して自力で管理してもらうのが本来の姿だと思います。
その上でどうしても直接支援せざるを得ない場合には、しかるべき顧問料を上乗せして頂くべきだと思います。

④社労士・弁護士の領域の質問が多い顧問先の対応について

これらの点は、社労士・弁護士の先生方とタイアップして必要な場合には紹介して対応して頂くのが本来の姿でしょう。
税務・会計以外の領域の質問対応には専門外の調査を要し、かつ間違った回答をしてしまうリスクもありますし、コンプラ上のリスクもあると思います。

サービスのメニュー化と無償サービスの有償化

無償サービス削減の為には「サービスのメニュー化」と「無償サービスの有償化」が不可欠 です。

(1)サービスのメニュー化

「サービスのメニュー化」とは、

●提供するサービスを項目に分け
●それぞれのサービスにプライスを付ける

という事です。

通常の税務顧問サービスでも、監査のボリュームや面談回数によって所要時間は変わってくるでしょう。例えば、下の表のように「年商」と「面談回数」で所要工数を推定して顧問料を決める事務所が増えていますね。

顧問料を決める

このマトリクスの中には、顧問料(月次✕12ヶ月、決算・申告料)が入る訳ですが、その際には次のような計算式で計算する事が必要です。

●推定所要工数✕時間チャージ

推定所要工数は、年商ごとに月次監査時間・決算申告作業時間を推定する事になります。
またそれは、「目標時間として機能する」事になります。

時間チャージについては、会計事務所の人時生産性の実態と目標でお伝えしていますので是非お読み下さい。(面談・準備・移動を合わせた時間に8000円/時間をかけた金額を目指して頂きたいと思います)

(2)無償サービスの有償化

「無償サービスの有償化」とは、

●メニュー化されたサービスとそのプライスに添って
●顧客に商談を行い適正な価格に修正して頂く

という事です。


但し、顧問先との交渉、即値上げと容易にはいきません。
例えば本来顧問先が行うべき記帳を代行している場合、

●再度経理処理のレクチャーをして、一定期間自社で実施してう
●それでも難しい場合は「記帳代行というメニュー」を採用してもらい料金を頂く

というように期間を置いた取り組みが必要です。


また、誰が顧問料の交渉を行うのか、どのようなトークやツールで交渉するのかという点 も十分に検討して進めないとうまくいきません。例えば次のようなイメージです。

●理にかなった交渉であれば比較的容易に応じてくれそうな顧問先
 →監査担当者にロールプレイングで訓練し、価格表を使って交渉してもらう
●理にかなった交渉でも金額にシビアな顧問先
 →管理者クラスによる訪問で交渉する
●古くからの顧問先で、無償サービスが当たり前の習慣になっているような顧問先
 →所長面談で直接交渉する

また、一定期間の猶予を持っても「自力で処理ができないにも関わらず、金銭的負担も出来ない」という顧問先も発生します。
その場合、現実的には再度顧問料UPの期間的猶予をするなどの取組みも必要になるでしょう。
また、顧問料を増額できないような場合には、面談回数を削減するなどの交渉も必要です。


この取り組みをして頂いた多くの事務所では、顧問先の納得を得ながら顧問料の機会損失を無くす事(増収)に成功しています。

経営支援(MAS)への取り組み

(ここでは、高付加価値化3つの展開軸でお伝えした内容を再掲します)

(1)顧問先育成型会計事務所に変革する価値

これまで会計事務所では、顧問先の成長(取引数の増加)や高収益化の結果、顧問料が上がってきました。また反面顧問先の経営が悪化すれば顧問料を下げざるを得ない事もありました。
これは言わば、「顧問先の経営力に依存した経営」とも言えます。
これからは、「顧問先の成長や高収益化を支援」する事により、その結果として顧問料が上がっていくような取り組みをすべきだと言えます。
「顧問先育成型の会計事務所」を目指すべきではないかと思います。

会計事務所は、

経営活動の事実が記録された仕訳や証拠書類
顧問先が置かれている経営環境
組織の現状

などを知り得るポジションにいます。
その情報を社長と一緒に解析し、より良い経営をするサポートをすれば必ず企業の業績は良くなります。
業績が芳しくない企業の業績改善はもとより、成長可能性の高い企業の確実な成長経営の実現の支援、事業承継期の企業の後継者育成や陳腐化したビジネスモデルを作り直す支援も可能です。

このような取り組みで企業業績の向上とともに会計事務所の収入も増える事になります。
会計という武器を制度会計だけでなく、管理会計に活用する支援をするだけで「顧問先育成型会計事務所」というスタイルで増収が可能なのです。


更に、顧問先を育成できる会計事務所は顧問先からの口コミ紹介が増え、その実績を見た地域の銀行などからの紹介も増え、顧問先の新規拡大にもつながっています。

(2)MAS担当者だけでなく、監査担当者も経営支援力が必要に!!

これまでMASは一部の経営支援に関心の高い監査担当者が取り組んだり、専任のMAS担当者を配置してサービス提供するというのが一般的でした。
しかし、多くの会計事務所が「経営支援力」をPRし、その事で新規拡大をはかる傾向にあり、普通の監査担当者も一定の経営支援力を持つべき時代になったように感じます。

MASには、大きく4つのレベルがあります。

レベル1.財務数値(勘定科目レベル)の計画と目標管理・行動管理を通じて顧問先の経営 者と「経営の会話」が行えるレベル
レベル2.セグメント会計(PⅬの内訳明細や部門別損益)やKPI(key performance indicators:業績評価の重要管理指標)を活用した計画と目標管理・行動管理を行えるレベル
レベル3.上記のデータをもとに、ロジカルに課題形成をし、傾聴力を駆使して改善を推進 できるレベル(改善アイデアを引き出すコーチングサービス)
レベル4.新たなビジネスモデルやマーケティング再構築の支援ができるレベル

普通の監査担当者も、できればレベル2、少なくともレベル1の経営支援ができるようになる事で、他の事務所と大きな差別化になり、新規顧問先拡大や高付加価値経営に貢献することになります。
所内にレベル3以上の経営支援ができる職員さんがいれば、他の職員さんがレベル1・レベル2に引き上げる支援をできる仕組みを構築すると良いと思います。

最後に

会計事務所の生産性向上のためには、高付加価値化への取り組みは不可欠です。
ここでお伝えした機会損失の除去や高付加価値化に取り組んで頂き、生産性向上を実現して頂きたいと思います。
その高付加価値化については、経営支援機能を持つ事が重要になると思います。
その内容は、別のコンテンツでお伝えしますので、是非お読み下さい。

稼働時間を合理化する

会計事務所は比較的稼働時間の割合が高い業界です。
この時間の合理化効果は大きいため、多くの会計事務所で稼働時間の合理化や更にはテクノロジーを活用した自動化に取り組まれている事でしょう。
ここでは、稼働時間の合理化に関する具体的な改善視点についてお伝えします。是非お読み下さい。

稼働時間とは何か?

別のコンテンツ生産性向上の考え方と工数分析では稼働時間の例として次のような項目をあげました。

・監査面談(税務監査・報告・相談対応など)
・所内監査
・記帳代行作業
・決算・申告書作成
・コンサルティング(MASなど)
・調査立ち合い
・契約外業務で対応せざるを得ないもの など

これらは、会計事務所の付加価値を生む時間であり、かつ税務品質を担保しなければならないものです。

私どもは税務は専門外です。しかし経営コンサルタントとしてあらゆる業種・職種の生産性改善を考えてきましたので、その視点でいくつかのテーマをご一緒に考えたいと思います。
税務品質の担保は皆様が考慮にいれて頂いた上で、稼働時間の合理化をひとつずつご一緒に考えて頂ければと思います。

稼働時間を合理化する視点(人の改善とテクノロジー)

稼働時間の合理化については、人の思考・行動の合理化とテクノロジーによる合理化の2つの手段で考えるべき時代になってきたようです。
その2つの視点を持って、ひとつずつご一緒に考えましょう。

(1)監査面談

監査面談は監査担当者の主業務で、税務監査・報告・相談対応などを指します。 監査面談では、税務品質と面談品質の両方を満たさなければなりません。
(※面談品質とは、社長や経理担当者の満足度を確保するための品質を指します。)

とは言え、そこに過剰な時間を投下すると生産性は大きく低下します。
監査面談については、顧問先に起因する問題と会計事務所に起因する問題があるようにお見受けします。

①顧問先に起因する問題

まずは長時間の滞在を好む顧問先についてです。監査担当者から次のような話をお聞きします。

●長話の顧問先があって困る
●とにかく質問や要望が多くて・・・

中には、監査担当者と会って話すのが楽しみで仕方ない顧問先もいるようですね。
またこのような話もお聞きします。

●現地での間違い探しが多くて時間が長引く
●資料が準備されてなくて手待ちが発生する

中には、

●長年、資料回収と報告の2回訪問する習慣がついている

という話もお聞きしました。

特に歴史のある事務所では、上記のような関係性が代々の担当者で引き継がれ、現在 の担当者単独では解決できないケースもあります。

これらの問題について、顧問先にイノベーションして頂くのは可能でしょうか?
結論、なかなか難しいですよね?
という事は、会計事務所の方がイノベーションして、上手に顧問先をリードしなければならないという事ではないでしょうか?

②会計事務所側の対応

上記のような顧問先に起因する問題も上手に対応してリードしている会計事務所も多いものです。

●資料準備や疑問事項を事前に連絡して準備してもらう
●顧問先の質問事項なども事前に教えてもらう
●中途半端な自計化は再教育して、難しければ有料で代行する
●面談設計をして時間コントロールをする

このような取り組みです。

また、ベテランの方はこのような事を当然やっているけど「新人さんがいつも顧問先に振り回されている」というケースもあります。
面談業務の準備と面談時のあり方について再教育してみる価値はあるかもしれません。

③テクノロジーの活用

監査面談において徐々に活用が進みつつあるテクノロジーには次のようなものがあります。

●web会議の活用
●チャット・メールを中心とした報告と質疑応答 など

これらは、若い社長しか難しいかもしれませんが、徐々に広がっているようです。
web会議の活用は、移動時間の短縮はもちろんですが、実は「面談時間の合理化」 にも効果がある手段です。双方が準備を充実し段取りよく面談が終わります。
最近は、クラウド会計はもとより各種クラウドの普及により、試算表がリアルタイム に見れるなど、会計事務所からの報告の形態が変わってきている感もあります。
中には、リアルでの面談は基本的に行わないという若手会計事務所も増えてきていますね。

(2)所内監査

会計事務所様は、訪問面談を効率的に行ったり、訪問しない契約の顧問先の監査を所内 で行っておられます。

この業務は、会計ソフトなどの機能をフルに使って効率的に行っておられるようです。
ただ、担当者によっては、心配性で時間過剰になっている方もいるようですね。
また、担当替えの際に十分な引継ぎがなされず、新担当者が実態を一から把握しなおさなければならないこともあるようです。

一般的に効率的に所内監査を行う事務所では人的な努力として、次のような取り組みをされています。

●顧問先カルテで監査ポイントを明示する、それを引き継ぐ
●そのカルテに、目標時間を書き、それを目標に業務に取り組む
●その目標は新人・中堅・ベテランとスキルによって変えている

皆様の事務所ではどのような努力をしておられますか?

(3)記帳代行作業

記帳代行作業は様々な手段で合理化に取り組んでおられます。
アウトソーシングや集中処理組織の編成から始まり、合理化・自動化の流れへと進んでいるように思います。

この業務の付加価値は年々低下していく事でしょうから、徹底した合理化やアウトソーシングの活用を検討していくべきかもしれませんね。

●海外・国内の記帳代行会社にアウトソーシング
●自動化可能なクラウド会計の活用
●AIの組み込まれたOCRとRPAで紙情報のデータ化

  

最近はテレワークを活用した記帳代行もあるようです。
コンプライアンスを遵守しつつも会計入力に関するのイノベーションは加速しなければならないでしょう。

会計事務所が抱える機会損失について

稼働時間の業務に「契約外業務で対応せざるを得ないもの」と記載しました。 例えば次のようなものです。

●自計化契約だが職員が仕訳入力している
●自計化だが修正が多く時間がかかる
●売掛金・買掛金の残高合わせをしている
●受取手形・支払手形の残高合わせをしている
●金融機関向けの資料作成を無料でしている
●社長が欲しい管理資料を無料で作っている

 

これらの業務に要する時間は、会計事務所の生産性を大きく阻害する内容です。
これらは、時間短縮という視点以外に、無償サービスを有償化するという視点も必要です。

詳細は、別のコンテンツ稼働率を高めるで詳しくお伝えします。

最後に

会計事務所は、比較的稼働率の高い業種ですので、稼働時間の合理化の効果は大変おおきなものになります。
人的サービスの革新と共にテクノロジーを活用した改善などを適切に組合せて生産性を高めて頂きたいと思います。


稼働率を高める

会計事務所の人時生産性の向上のひとつの方向性は稼働率向上です。
稼働率とは、総時間に占める稼働時間の割合ですから、非稼働時間(稼働時間以外の時間)の削減を考える事になります。
ここでは、稼働率向上の具体的な改善視点についてお伝えします。是非お読み下さい。

稼働率とは何か?

別のコンテンツ生産性向上の考え方と工数分析では生産性の算式に、「稼働時間」を加味して次のように分解しました。

生産性=稼働時間/総時間(稼働率) ✕ 付加価値/稼働時間(パフォーマンス)

稼働率とは、総時間に占める稼働時間の割合を指し、稼働時間とは「直接付加価値を生む時間」を指します。
生産性向上の考え方と時間分析では次のような項目をあげました。

・監査面談(税務監査・報告・相談対応など)
・所内監査
・記帳代行作業
・決算・申告書作成
・コンサルティング(MASなど)
・調査立ち合い
・契約外業務で対応せざるを得ないもの など

この稼働時間をより多く確保しようとすると、段取り時間・非稼働時間を削減する必要がある訳です。

段取り時間とは次のような時間を指します。

・移動
・個別案件の調査
・研究
・電話やメールの相談対応
・資料探し など

 

また、非稼働時間とは次のような時間を指します。

・研修
・OJT
・会議 など

これらの時間削減について具体的に考えてみましょう。
ここからの記載内容はあくまでも「例えば」という事ですので、ご自身の事務所の「問題の発見」と「改善のアイデア出し」を目的にお読み頂けると幸いです。

段取り時間の改善を考える

段取時間の代表例について、その改善をご一緒に考えてみましょう。

(1)移動時間を削減する

監査担当者にとって移動時間は結構な負担になりますが、移動しなければ顧問先と面談ができずに仕事になりません。
なるべく少ない移動時間にする方法を考えなくてはなりません。

①同方向訪問で1社あたりの移動時間を短くする  

これは多くの監査担当者が取り組んでいる方法でしょう。
顧問先も納得するタイミングで、監査担当者にとっても効率的な訪問活動を行うには「早めにポイントを入れる」という事が大切ですね。
3ヶ月先までのアポイントとか、年間アポイントとかを励行している方もいますね。

新人監査担当者などはこの点が徹底できてない方には先輩が指導して頂ければと思います。

②営業エリアを限定して移動時間を減らす

会計事務所の新規顧問先拡大は紹介によるものが多いと思います。
もちろん紹介は有難いものですが、事務所から遠くの顧問先を紹介され契約すると後々移動時間が増える事になります。
対応エリアを限定するとか、遠方は若干の移動チャージ見合いの顧問料も頂くとかの工夫が必要です。
販促をしている事務所では、エリアを限定して販促活動を行う必要もありますね。

③来社型面談で移動時間を無くす

最近は、顧問先に来社して頂くスタイルのサービスも増えてきたようです。
新規商談の際に、訪問型と来社型で若干の顧問料の差をつけている事務所もありますね。
経営者には、「事務所に伺って話した方が落ち着いて集中できる」という方もいるようです。来社型サービスは合理的で良い対策だと思います。

④オンライン面談で移動時間を無くす

若手会計事務所などで最近よく見られるのが、オンライン面談です。
SkypeやZOOMといたweb会議システムを使った面談サービスです。
web会議システムは移動時間削減だけでなく、面談時間の効率化・時間短縮にも効果があります。
実際の面談と違い、双方が事前準備を充実したり当日の無駄話も減る傾向にあり時間短縮につながります。
もちろん顧問先との無駄話も大切な時間だと思います。
それはそれで同方向に移動した際に少し立ち寄るなどの配慮があってもいいのではないでしょうか?

(2)個別案件の調査・研究時間を削減(効率化)する

個別案件の調査・研究時間とは、税法的な問題をひも解く時間や顧問先からの質問に対 応するために調べものをする時間を指します。
監査担当者は、調べもの蓄積で判断能力が高まる側面がありますので、一概に調査・研 究時間をゼロにするのがいい訳ではありませんね。
かと言って、長時間を調査・研究に割いていると人時生産性が下がってしまいますので どのような判断基準が良いのか迷うところです。
例えば、「30分程度調べて目処が立たないテーマは見識者に聞く」といった所内ルー ルを決めて実行してみるのも良いと思います。

(3)電話やメールの相談対応

「今日は、一日中電話やメールによる相談対応で仕事に集中できなかった」という事はないでしょうか?
知的ワークの場合、集中して生産性があがる時間は1.5時間~2時間と言われます。
この思考業務が電話やメールで分断されると生産性はがた落ちですね。
顧問先からの連絡は要件を分析してみては如何でしょうか?
重要な相談のアポ、前回説明した事の質問、システムの使い方等、色々あると思います。
これらの中で、アシスタントや総務の方に対応頂けるものはないでしょうか?
ベテランの皆さんは、部下や後輩からの質問も多いのではないでしょうか?
緊急時効は別としてなるべく所内の質問時間帯を1日にいくつか決めておく事もいい かもしれません。

(4)資料探し

監査担当者は、様々な資料を確認して業務の判断をします。
その際、判断材料となる資料を探す時間が多くなっていませんか?
最近は、資料の電子化やファイリングに尽力される事務所が増えていますね。
フォルダやファイルの管理体系を整備したり、ルールを徹底したりする事務所が増えているようです。

非稼働時間の改善を考える

次に非稼働時間の代表例について、その改善を考えてみましょう。

(1)研修工数を減らす・絞る

会計事務所は研修受講が多い業界だと思います。
資格維持の為の研修などは別として、様々な研修を受けている時間は付加価値を 生みません。その研修を活かして行動して何らかの成果を生むことに意義があります。
その研修は「事務所の目的・方針に沿っているか?」「内容は成果を生み出せるものか?」 など研修内容や受講後の活動・結果をもっと評価すべきなのかもしれません。
私どももMASノウハウを集合型コンサルティングで提供する会社ですので、少し汗をかきながら書いていますが・・・。

(2)OJTを効率化する

※OJT:On-The-Job Training 職務現場において業務を通して行う教育訓練のこと
人材育成の為には、OJTは不可欠ですね。
多くの事務所では研修とOJTを組み合わせて人材育成に取り組んでいると思います。
特に新規顧問先拡大が進み、組織が成長している事務所では、常に採用・人材育成の繰り返しで、ほとんどがプレイングマネージャーである管理者クラスの時間的負担が大きくなっているように感じます。

OJTは、その内容を分解して改善を考えてみると良いかもしれません。
一般的にOJTでは、4段階の指導法を用います。
「やってみせる(Show)」「説明する(Tell)」「やらせてみる(Do)」「確認し追加指導を する(Check)」という4段階です。
例えば、「やって見せる」「説明する」「やらせてみる」に時間を取るのは仕方ないでし ょうが「確認して追加指導をする」は如何でしょうか?

・先輩や上司が全て見て確認する
・まず自分で確認させて、その上で先輩や上司が需要な点を確認する

この2つでは大きくOJT時間が変わります。


また、よくOJTの教育ツールとして「マニュアル」「チェックリスト」などを作ったります。
大きな会計事務所では既にこのようなものは整備されていると思いますが、これからマニュアルを作成する事務所は大変な作業になると思います。
例えば、次の2つの方法のどちらが効率的で効果的でしょうか?

・見識者がマニュアルを作って渡す
・見識者が口頭説明して、マニュアルを必要とする人が作りチェックしてらう

後者の場合、比較的見識者の時間を要さず、マニュアルが出来上がった時点で既にマス ターしているという効果も期待できます。
マニュアルの完成がゴールではなく、機能する人材を創るというゴールを設定すれば よい規模であれば、このような方法も良いかもしれません。

(3)会議を効率化する

規模が大きくなるほど、会議時間は大きくなっていきます。戦略の立案、方針の浸 透、品質管理、工程やコスト管理・・・等々、全社や部門で検討する事が増えてき ますね。

「結論の出ない会議」はないでしょうか?

会議のゴールは、意思決定・実行項目の決定にあるとすれば、結論のでない会議は 無駄なものとも言えます。
もちろん皆で揉んで、後日よい施策が浮かぶこともありますが・・・。
最近は、チャットワークなど便利なツールが出ています。
例えば、議題毎に参加者グループを作り、チャットで事前に情報共有・問題意識・ 出すべき結論・その意見を共有しては如何でしょうか?
顔を合わせた会議は、「結論を出す場」にならないでしょうか?

最後に

会計事務所は、比較的稼働率の高い業種だと思います。
しかし、付加価値を生むために納期に追われ、品質に大変気を使わなくてはならない仕事です。
もし、削減可能な段取り時間や非稼働時間があれば改善したいものです。
具体的な項目ごとに、改善案を検討してみて頂ければと思います。


会計事務所の人時生産性の実態と目標

会計事務所の人時生産性は事務所により大きく異なります。
業務改善への取組み度合いや年間平均顧問料など、事務所経営によって差が出る人時生産性について、会計業界の平均的な水準と目標とすべき水準について考えます。是非お読み下さい。


別のコンテンツ 生産性向上の考え方と工数分析では生産性を次のように定義しました。

生産性 = 付加価値 ÷ 総工数 = 人時生産性

この定義に添って、会計事務所の人時生産性の実態はどのような水準なのか、またどの程度の水準を目指せばよいのかについてご一緒に考えたいと思います。

会計事務所の人時生産性はどのくらいか?

会計事務所の一般的な人時生産性はどのくらいでしょうか?
まず、総務系や臨時雇用などの方を含む全ての方の工数を含めた生産性について考えます。

会計事務所の経営環境でお伝えしたように、2016年のサービス産業動向調査と経済 センサスのデータから算出した会計事務所の主要データは次の通りでした。

1事務所平均売上     53,354千円
会計事務所従業員数   177,318人 (臨時雇用・派遣を含む)
1事務所平均従業員数      5.7人
1人当たり売上高      9,390千円

仮に、上記の1人当たり売上高を、ひとり年間就業時間2000時間で実現していれば人時生産性は次のようになります。

1人当たり売上高9,390,000円÷就業時間2000時間=4,695円/時間

上記の就業時間2000時間というのは、「臨時雇用・派遣の工数はもっと短いのではない か?」「職員の工数はもっと多いのではないか?」といったご指摘があろうかと思います。
それらを加減して差引ゼロと仮定して、ざっくりと見た場合、会計事務所の一般的な人時生産性はこのデータに近いと思います。

この会計事務所の人時生産性は、組織規模によっても事情が変わります。

●所長先生が中心になって稼ぐ小規模事務所ではもっと人時生産性が高い
●顧問先を拡大し投資で人材採用をしている事務所は、稼げる人が少なく全体の人時生産 性は高まらない
●様々なプロジェクトに取り組む事務所ではその工数が増え、人時生産性が伸びない
●大規模事務所では、管理工数が増え、人時生産性が伸びない

といったものです。

生産性向上活動を展開する事務所様では、「現状の人時生産性をどのくらい改善するのか」 という「個別の目標設定」が必要です。

例えば、上記の平均的な人時生産性4,695円を「毎年10%改善する」という目標設定 をした場合改善後の金額は次のようになります。

●現在4,695円、1年後5,164円、2年後5,680円

この例の場合、人時生産性の差額は「5,680円-4,695円=985円」となりますので改善を金額に換算すると次のようになります。

●985円×2000時間✕5.7人=11,229千円

上記の平均売上は、53,354千円ですから、大変大きな改善効果となります。

監査担当者の人時生産性はどのくらいか?

生産性向上は、人数に占める割合の多い監査担当者の業務の改善によるところが多いと思いますので、次に監査担当者の人時生産性について考えます。
上記の、1事務所平均従業員数5.7人には、総務・経理などの皆さんも含まれますので 監査担当者の人時生産性は、もっと高いものでなければなりません。

一般的に、一人くらいは育成要員として採用していたり、入力担当がひとりいたりするケー スが多いので、「顧問先を担当する監査担当者4人」だとすると次のようになります。

1事務所平均売上53,354千円÷監査担当者4人=1人当たり売上13,338千円
人時生産性=13,338,000円÷就業時間2,000時間=6,669円/時間

この規模では、所長先生が稼ぐ比率が高いので、職員さんの人時生産性に限定するともっと低い数値になるでしょう。

例えば、次のような構造です。

●所長先生 20,000千円÷2000時間=10,000円/時間
●ベテラン 15,000千円÷2000時間= 7,500円/時間
●3年目  12,000千円÷2000時間= 6,000円/時間
●新人    6,000千円÷2000時間= 3,000円/時間
●職員合計 33,000千円÷6000時間= 5,500円/時間
●合計   53,000千円÷8000時間= 6,625円/時間

大きな事務所であれば、上記の「所長先生が監査課のリーダーに該当」「ベテランがサブリーダーに該当」といった構図になるのではないでしょうか?
また、大きな事務所では、管理工数やプロジェクト工数が増え稼働率が下がったり、管理職の労働時間が長くなるので、上記よりも人時生産性が低いかもしれません。

上記の数値を画一的に当てはめて比較するのでなく、個人の実情にあわせて毎年一歩づつ改善して頂きたいと思います。

顧客別の時間チャージについて

次に、顧問先別の時間チャージを考察します。

直接顧問先を担当して売上をあげるのは監査担当者ですが、その全てが直接売上を稼ぐ時間ではありません。「監査面談・所内監査・会計入力・決算書申告書作成」などの「稼働時間」が稼ぐ時間です。加えて「移動、別案件の調査・研究、電話やメールの相談対応」といった「段取り時間」も顧問料を頂く為に必要な時間です。

従って、「監査担当者の人時生産性の金額を(稼働率+段取時間比率)で割り戻した金額」が顧客の必要時間チャージとなります。

先程計算したように、会計事務所の平均売上53,354千円を、監査担当者4人で対応した場合には、1人当たり売上13,338千円となり、それを就業時間2,000時間対応した場合の人時生産性は6,669円/時間でした。

これには、所長の稼ぎと時間が含まれますので、ここでは職員さんだけの人時生産性の仮定値5,500円/時間を使用して考えます。
これを仮に「稼働率+段取時間比率=75%」として割り戻すと次の通りです。

●5,500円÷75%=7,333円/時間

これらから、一般的な職員さんの1時間当たりの顧客へのチャージについては

●まず平均8,000円/時間を目指す
●次いで、9,000円/時間を目指す

という水準で検討して頂くのがひとつの目安であると考えます。

但し、事務所の状況や個人別の時間チャージの実績が異なりますので、個人の実情にあわせて毎年一歩づつ改善して頂きたいと思います。

最後に

人時生産性の向上には、「稼働率を高める」「稼働時間を合理化する」「付加価値を高める」の3つの改善の方向性があります。
事務所の実情によってどこを改善するのが効果的かは異なますが、実態を分析してポイントを抑えた改善活動を推進すれば効果は生まれます。

また、人時生産性の現状も事務所や人によって大きく変わります。データを採取して毎期適切な水準の目標を立てて改善を進めて頂ければと思います。
また、個別テーマの改善策については関連するコンテンツでご研究下さい。

生産性向上の考え方と時間分析

顧問料UPが望みにくく人件費・関連経費が増える経営環境の中、会計事務所の生産性向上 への取り組みは不可欠でありましょう。
生産性向上のためには、現状分析をし、重要課題を押さえ、的を得た改善活動を展開する必要があります。
ここでは、生産性向上の考え方とその準備活動である時間分析についてお伝えします。 是非お読み下さい。

生産性の定義と算式

生産性は目的により定義と算式が異なりますが、ここでは、会計事務所の生産性を考える上 で重要な「人時生産性」について考えます。
人時生産性は「1時間当たりの付加価値」ですから、生産性は次の算式で表されます。

生産性 = 付加価値/総時間 

付加価値は、事務所全体の「年間付加価値」を指します。
会計事務所の場合、一般的に変動費が少ないでしょうから「付加価値≒売上」でお考え頂いても結構です。 もし、ある程度の変動費がある事務所ではそれを差し引いて付加価値としてお考え下さい。

総時間は、組織全体の「総就業時間」を指します。当然、残業や休日出勤、総務の方の就業時間も含める事になります。

この記事をお読み頂いている皆様の事務所の人時生産性はいくらでしょうか?

生産性指標の分解と3つの改善方向

生産性の算式に、「稼働時間」を加味して分解すると次のようになります。

生産性 = 稼働時間/総時間(稼働率) ✕ 付加価値/稼働時間(パフォーマンス)

稼働時間とは、「直接付加価値を生み出している時間」を指します。
会計事務所では、「監査面談・所内監査・入力代行・調査立会」などの時間が含まれます。

総時間に占める稼働時間の割合を「稼働率」といい、1稼働時間あたりの付加価値を「パフォーマンス」といいます。
従って、稼働率を高め、パフォーマンスを高めると生産性が向上する事になります。
パフォーマンスは、「同じ時間で付加価値を高める」か「稼働時間を合理化する」ことで高まります。

そう考えると生産性向上の方向性は3つある事がわかります。

①稼働率を高める 
②稼働時間を合理化する 
③付加価値を高める

※それぞれの改善方向について詳しく知りたい方は文末の関連記事でご研究下さい。

生産性向上のベースとなる時間分析

生産性向上のためには、上記の3方向のどれから改善すべきか、更に詳細な作業項目からみて何から改善すべきかを考察するため、「何にどの位の時間が使われているか?」を把握する事から始めます。

(1)時間の区分

時間区分は当然職種によって異なりますが、ここでは監査担当者の時間区分に絞ってお伝えします。監査担当者の時間は概ね以下のように分けられます。

●稼働時間  :直接付加価値を生んでいる業務に要する時間
●段取り時間 :付加価値を生む業務に付帯して発生する時間
●非稼働時間 :直接付加価値を生まない時間

①稼働時間

・監査面談(税務監査・報告・相談対応など)
・所内監査
・記帳代行作業
・決算・申告書作成
・コンサルティング(MASなど)
・調査立ち合い
・契約外業務で対応せざるを得ないもの など


②段取り時間

・移動
・個別案件の調査・研究
・電話やメールの相談対応
・資料探し など


③非稼働時間

・研修・OJT
・会議 など


(2)時間の把握

時間の区分が決まれば、時間の実績を採取し実態を把握します。

工数データの概要はexcelで次のような時間日報で把握する事もできます。

時間日報

会計事務所は知的作業ですので、詳細かつ正確に時間を採取する事が難しいと思います。

例えば、

・時間は0.5時間単位で採取する
・電話が多くて毎回数える事ができないので1日何時間というまとめ方で採取する
といった配慮が必要です。

これで、顧問先別の年間所要時間を計算し、年間顧問料をその時間で割ると、「顧問先別時間チャージ」が把握できます。
顧問先別の時間を更に、「面談・記帳代行・契約外業務・・・」などに区分するのは大変手間がかかりますので、ざっくりと顧客別の時間を把握できる程度になります。
時間が多くかかっている顧問先は、その要因を記憶の範囲で抽出・分析して仮説を立てて改善に取り組む事になります。

※近年は、会計事務所用のグループウェアなどで「時間採取」ができ「分析データ」が見えるものがあります。積極的に導入を検討されると良いでしょう。


これらの時間把握ができたら、

●担当者別に考察して課題と対策を考える
●顧客別に考察して課題と対策を考える
●作業項目別に改善を考える

といった作業に入ります。

最後に

会計事務所にとって生産性向上は不可欠な時代だと思います。
皆さんお忙しく働いている事と思いますが知的ワークには様々な時間ロスが発生しています。
業務の実態を把握する事からはじめ、ひとつずつ改善を積み重ねて頂ければと思います。

固定費削減のご支援について

固定費削減は、経常利益に直結し会計事務所でも支援し易いテーマではないでしょうか?
中小企業においては、十分に吟味されないまま固定費が投下されている傾向にあるため、マネジメント強化と経営者の意思により改善成果を出すことができます。
労務費については別の項でご説明しておりますので、ここでは固定費削減の支援の一般的な手法と主な固定費の削減視点を整理します。是非お読み下さい。

固定費削減の意義

固定費は、商品の製造に関わる人材・設備・動力、また販売・物流・バックオフィスなど事業全体が機能し顧客に価値を提供するために投下されます。固定費には、顧客価値を生むものとそうでないものに識別され、重点投下すべきものと削減・中止すべきものがあります。

売上が同じであれば、固定費削減は経常利益に直結し、損益分岐点を下げるためにも重要な管理ポイントです。特に高固定費型の業界では当面の利益アップという観点だけでなく、「儲かる体質をつくる」ための重要な支援と言えるでしょう。
会計データの活用と一定の改善の視点により、経営者の改善アイデアを引き出す事ができれば成果を創出できます。

内訳明細作成技術で固定費削減を支援する

会計事務所の技術のひとつに「内訳明細作成技術」があります。
固定費は削減を検討する勘定科目の「内訳明細」を作成して社長との話し合いを進めると具体的な改善策が浮かび上がる可能性が高まります。
以下のようなフォーマットで内訳明細を作成し、社長と共に検討してください。場合によっては現場の責任者も交えて検討し、改善アイデアが出れば、それを実行して検証していきます。

固定費削減の検討

地代家賃の削減

地代家賃は、長年コストダウンの対象外とされてきました。しかし、様々なコストダウンの要請から、家賃交渉も通常のコストダウン策として定着しつつあります。地代家賃は、一般的に「家賃+共益費」で構成され、それぞれ「坪数✕坪単価」で表されます。
従って、坪数と坪単価について削減の検討を行います。

(1)坪単価の削減

家賃も共益費も、地区により相場があります。相場が交渉の根拠となりますので、近隣の不動産屋で調査して坪単価の交渉に臨みます。最近は家賃交渉専門業者の利用も増えてきています。手数料とコストダウン額を照らし合わせて、利用を検討するとよいでしょう。

(2)坪数の削減

坪数削減の方法は、「現物件での縮小」「現物件内での移転」「他物件への移転」が考えられます。縮小・移転の為のイニシャルコストとコストダウン額を照らし合わせて、検討しますが、会計事務所はコストシミュレーションを中心に支援を行うと良いでしょう。

販促費の最適化

販促費は一般的に売上拡大に不可欠な費用であり、単純なコストダウン対象科目とは異なる見方が必要です。

例えば、現状より更に販促費を増加する事で売上拡大が望める構造であれば追加投資すべきでしょう。販促が売上に連動する業界では、販促費は変動費であると捉えることもできます。
その場合も、販促費の費用対効果の検証は必須です。販促の実施項目別に、費用と売上拡大効果を見極めて、「効果の高いものに重点投下する」という考え方を企業に定着させる支援を行います。

販促費に費用対効果の検証と改善策の立案は、下記のようなフォーマットを用いて社長や販促担当者と共に考えると良いでしょう。
↓※媒体名を貼付で消しているので注意!!

媒体別効果検証シート

店舗型の企業でチェーン店になると、販促費のマネジメントが行き届いていないケースがあります。
例えば各店舗に販促を任せ、同じ媒体にばらばらに発注する事で、高い販促コストになっているなどのケースです。
全部門の投下している販促費を分析し、本部一括発注するなど、購買活動の改善でコストダウンの可能性があります。
同様の販促手法・ツール類は、相見積などでコストダウンを図る事も企業に定着させていく必要があります。

もっともコストのかからない販促活動は、「顧客満足」とそれをベースとした「口コミ・紹介」です。販促費の改善の為には、顧客満足アップによる口コミ紹介増加や、利用回数増加、シェアアップを先に考え、販促費を最小にする努力が不可欠です。

コストダウンサービス会社の利用について

固定費のコストダウンは多岐にわたり専門知識を要します。
電力・通信などでは、契約タイプも多岐にわたり、かつ時代と共に変化しています。
コピーや印刷といったコストも相場を知らないと交渉は難しいでしょう。
最近は固定費を中心とした「コストダウンサービス会社」があり、その活用も一つの手法としてお勧めします。

最後に

コスト削減は、勘定科目の要素の分解がベストなります。
会計事務所の内訳明細作成技術が最も活かせる経営支援テーマです。
コスト構造の可視化をし、それを社長と一緒に検討する事で成果を提供できます。
そのようなご支援で、コスト意識の高い会社に育成して頂ければと思います。

労務費最適化のご支援について

製造・建設の現場や顧客サービスの現場の労務費は、企業の収益性や生産性に大きく影響を与えるコストです。中小企業においては、その労務費の最適化に向けた検討が十分でなく、機会損失が発生しているケースが見られます。
労働人口減少・採用難などから人件費高の状態は続くと思われ、労務費管理は更に重要になります。

ここでは労務費の最適化支援についてお伝えします。

労務費の意義と労務費最適化の2つの視点

労務費は、製造やサービスに不可欠なコストであり、付加価値を生む重要な要素です。
単純にコストダウンできれば良いというものではなく、労働生産性を高め社員の士気や年棒にも配慮をしつつ、かつ労務費比率や労働分配率は最適化しなければなりません。
労務費の最適化のポイントは、「ムダをなくして生産性を高める」事です。
その内容を考えていきましょう。

労務費の構成要素は、「人数×一人あたり人件費」です。
従って、その最適化の視点は次の2つになります。

●人数を最適にすることは出来ないか?
●支給額を最適にすることは出来ないか?

これらを最適にするための切り口と方法論を社長とともに話し合い、社長のアイデアを引き出します。

人数の最適化

人数の最適化については、「既存の製造・サービスのモデルの中で最適化」と「機械化・自動化による最適化」を考える事になります。

(1)既存の製造・サービスモデルでの人数最適化

既存のモデルでの人数最適化は、次の2つの視点からひも解きます。

●人の配置に過不足が発生する状態を改善する
●作業改善によって生産性を高める

以下、その内容を見ていきます。


①人の配置に過不足が発生する状態を改善する

この改善の為には人の配置の過不足を可視化する必要があります。
企業の目的・実態に合わせて「工程別」「時間帯別」「月別・季節別」など適切な区分に分けて人の過不足を可視化する支援をしましょう。飲食店等では「曜日別✕時間帯別」など2つの要素を盛り込んだ区分も必要でしょう。
人の過不足の可視化には以下のようなフォーマットを準備するとよいでしょう。
人の配置には仕事量や来客数の予測が必要でしょうから、そのような列を加えて頂いても結構です。

これらの現状を可視化し、社長や場合によっては現場の責任者と共に検討を行います。

工事別人数検討シート 時間帯別人数検討シート

②作業改善によって生産性を高める

生産性が低ければより多くの人数が必要になりますので、生産性改善の視点も必要です。
社長や現場の責任者と次のような点をチェックして改善点を見つける支援も重要です。
次のような視点で社長と一緒に考えてみましょう。

☑チェック
□作業のマニュアル化による工数削減ができないか?
□標準作業時間の設定・管理により工数削減ができないか?
□治工具活用による工数削減ができないか?
□機械と人のバランスを改善して工数削減ができないか?
□手直し削減で工数削減ができないか?
□レイアウト改善による歩行・運搬工数が削減できないか?
□設備停止を削減して工数削減ができないか?
□標準的な稼働状況を想定した固定人員で、ピーク時に派遣・パートアルバイトなどの要員でまかなえないか?


(2)機械化・自動化による最適化

工程の機械化・自動化による人数削減の可能性は、次のようなプロセスで考えます。

機械化可能な工程はどこかを考える
●機械投資額から減価償却費(又はリース料)はどれくらいになるかを考える
●削減可能な人件費を試算・比較し、意思決定する

工程ごとの機械化・自動化の可能性や期待成果を可視化するためには、下記のようなフォーマットを準備するとよいでしょう。
この情報をもとに、社長と一緒に検討を行います。

機械化検討シート

支給額の最適化

支給額を最適化するには「残業・休日出勤の削減」が優先されます。中小企業ではまれに基本給額が過剰な場合もありますので「基本給の妥当性検証」が必要事もあります。

(1)残業・休日出勤の削減

この点はまず「残業・休日出勤の現状を把握」し、「適正な超過勤務時間を想定」します。
それを達成できるように、社長と共に改善策を考えます。以下のようなフォーマットを用いて検討するとよいでしょう。

休日出勤削減検討シート

(2)基本給の妥当性検証

時折、基本給の支給水準が高くなりすぎているケースもあります。
基本給の妥当性は、厚生労働省の「賃金センサス」で検証するとよいでしょう。
HPで「賃金センサス」で検索するとある程度の詳細情報が得られ「企業の支給実態との比較」が可能です。

現状の固定給に見合う成果を出せていない場合、賞与支給額で調整する等の方法も考えられます。やむを得ず基本給の削減が必要な場合には、労務問題も絡みますので社労士の先生など専門家のセカンドオピニオンも活用しながら対策を検討するのが妥当です。

要員の配置転換について

人数の最適化により要員に余剰が生まれた場合、リストラなどの他に「売上拡大に寄与する配置転換」も検討する価値があります。
例えば、製造部門の社員は技術的に詳しい知識・経験を持っているので、営業を支援するセールスエンジニアのような役割を果たして売上拡大に貢献する可能性も大いにあります。これらの配置転換も視野に入れて社長と検討してください。

設備と人員のバランスについて

採用難により、保有している設備が稼働できず売上の機会損失または外注費の発生という事態を招いている企業もあります。
例えば、運送業でドライバーが採用できずに未稼働車両が発生している等のケースです。
このような場合は、人件費削減ではなく人材採用が利益アップの対策となります。
設備と人員の適正化も利益創出という観点で注目すべき点といえるでしょう。

最後に

労務費の最適化は、人数・支給額ともに「まずムダをなくす」ことから始まり、生産性を高め、そこで得られた利益を原資に「内容の良い支給額UP」を目指すべきでしょう。

労務費を構成する要素を紐解き、そこに関連付けられるデータを採取し、どこから手を付けていくべきなのか、またどうすれば改善できるかを社長と共に考えれば必ず成果は創出できます。是非ご支援ください。

外注費削減のご支援について

外注費が大きい業界ではそのマネジメントが収益性を大きく左右します。
会計事務所は製造や施工に精通している訳ではないと思いますが、社長に対する的確な問い掛けと目標管理・行動管理で外注費削減に貢献する事は可能です。是非お読み下さい。

経営から見た外注費の意味

外注費は商品を構成する重要な構成要素です。企業は内製できない工程・加工を外部に委託します。
外注費は大きく2つの発生理由があります。

●機能的・設備的に内製できるがキャパシティ不足から外注するもの
●機能的・設備的に内製できないから外注するもの

基本的に内製を増やした方が企業に付加価値は残りますが、設備や人材という固定費を増やして内製化した場合、売上減少期に利益を圧迫ことになります。
従って、短期的な利益と中期的リスクを合わせ考え最適な戦略を考える必要があります。

外注費削減の2つの考察方法

(1)外注費を内訳明細から考察する

外注費を「購入先別」「品目別」に分けて考察します。以下のようなフォーマットで内訳明 細を作成し、社長と共に検討してください。場合によっては現場の責任者も交えて検討し、 改善アイデアが出れば、それを実行して検証していきます。

外注費削減の検討

(2)外注費の構成要素から考察する

外注費の構成要素は、「購入量×購入単価」です。
従って、その削減の視点は、

●購入量を最適にすることは出来ないか?
●購入単価を最適にすることは出来ないか?

の2つになります。

これらを最適にするための切り口と方法論を社長とともに話し合い、社長のアイデアを引き出します。

外注の購入量(発注量)を最適にする具体的な切り口

外注の購入量を最適にする視点は大きく3つあります。
これらの視点を社長に問い掛けて具体的アイデアを抽出してみましょう。

(1)生産性を高め、外注を削減する

現場の生産性を高めるには、製造ラインの生産性向上はもとより、加工高の波を減らし平準化するために営業や設計・購買の協力も必要になってきます。次のような点について社長と一緒に考えてみましょう。

☑チェック
□工程管理を充実して外注を減らせないか?
□人員増加で設備稼働率を高められないか?
□営業の納期交渉・早期受注で内製化が図れないか?
□設計のスピードアップで内製化が図れないか?
□材料の納期短縮で内製化が図れないか?


(2)内製化できる商品の受注を増やす

これは、そもそも外注費が発生しない分野の売上を増やして全体の外注費比率を低減しようという取り組みです。
この取り組みには営業の協力が不可欠ですし、また利益の残る売上を作るのも営業の重要な使命です。次のような点について社長と一緒に考えてみましょう。

☑チェック
□内製化商品の販売を強化して外注費削減できないか?
□内製化商品を買ってくれる新規顧客の開拓で外注費比率を低減できないか?


(3)機能的・設備的にできない外注を削減する

内製化できない工程を設備投資や技術開発により内製する事もひとつの方法です。
これは投資を伴ったり固定費アップにつながりますので、投資した内容の稼働率が確保できるか慎重に検討する必要があります。
このような場合の会計事務所の役割は次の通りです。

●社長から、投資後の稼働率や外注費削減効果を良くヒアリングする
●数値のシミュレーションにより意思決定の支援をする


外注の購入単価を最適にする具体的な切り口

外注の購入単価を最適化する視点には大きく2つの方向があります。
社長と一緒に検討してみましょう。


(1)発注内容・発注方法を最適にする

中小企業では、外注先への発注内容(仕様)が曖昧なケースがあります。これは外注先からの追加請求につながる要因となります。
また、発注が遅れ納期が短いため高単価で請求されるというケースもあります。外注費を最適にするには、仕様を明確にし、なるべく外注先の手間がかからず手戻りが無いような発注と管理をしていく必要があります。
次のような点について社長と一緒に考えてみましょう。

☑チェック
□外注する仕様に過剰品質はないか?
□発注先の集約・ロット拡大でコストダウンできないか?
□納期・納品方法を変えてコストダウンできないか?
□支払サイトの短縮でコストダウンできないか?
□外注先の生産指導でコストダウンできないか?
□材料・加工の分離発注でコストダウンできないか?


(2)発注単価、発注先を最適化する

外注費の単価は、発注する年間金額や発注条件、外注先の育成などにより金額が変動します。
これらの外注先の付き合い方を見直す事でコストダウンにつながる事があります。
外注先の見直しや相見積もりも年に1回程度は実施する事が望ましいでしょう。
次のような点について社長と一緒に考えてみましょう。

☑チェック
□外注先からの見積もりの妥当性を検証しているか?
□相見積もりを励行しているか?
□新しい発注先を模索しているか?

顧客の要望変更による外注費負担

中小企業では、顧客の要望変更などにより外注費がコストアップになる事があります。この場合は、本来顧客に追加請求をすべきものですが、中小企業の社長は次の仕事を心配してなかなか顧客に追加請求を言い出せない傾向にあります。

一方外注先には仕事をした分支払いが発生し、自社の収益性低下を甘んじて受ける事も多いものです。
そもそもの契約書の内容の見直しやコストアップ理由の記録化など交渉力を高める支援が必要なケースもあります。

最後に

中小企業では、外注費のマネジメントが十分でないケースが多く見られ、外注費のコストダウン・最適化が進むと収益体質が良くなり、収益性改善に大きく貢献しています。

会計事務所は製造や施工の専門家ではありませんが、ここでお伝えしたようにコストダウ ンの適切なひも解き方をマスターして、社長の改善アイデアを引き出して頂ければ、必ず企 業に成果を提供できます。是非ともチャレンジして頂きたいと思います。