固定費削減のご支援について

固定費削減は、経常利益に直結し会計事務所でも支援し易いテーマではないでしょうか?
中小企業においては、十分に吟味されないまま固定費が投下されている傾向にあるため、マネジメント強化と経営者の意思により改善成果を出すことができます。
労務費については別の項でご説明しておりますので、ここでは固定費削減の支援の一般的な手法と主な固定費の削減視点を整理します。是非お読み下さい。

固定費削減の意義

固定費は、商品の製造に関わる人材・設備・動力、また販売・物流・バックオフィスなど事業全体が機能し顧客に価値を提供するために投下されます。固定費には、顧客価値を生むものとそうでないものに識別され、重点投下すべきものと削減・中止すべきものがあります。

売上が同じであれば、固定費削減は経常利益に直結し、損益分岐点を下げるためにも重要な管理ポイントです。特に高固定費型の業界では当面の利益アップという観点だけでなく、「儲かる体質をつくる」ための重要な支援と言えるでしょう。
会計データの活用と一定の改善の視点により、経営者の改善アイデアを引き出す事ができれば成果を創出できます。

内訳明細作成技術で固定費削減を支援する

会計事務所の技術のひとつに「内訳明細作成技術」があります。
固定費は削減を検討する勘定科目の「内訳明細」を作成して社長との話し合いを進めると具体的な改善策が浮かび上がる可能性が高まります。
以下のようなフォーマットで内訳明細を作成し、社長と共に検討してください。場合によっては現場の責任者も交えて検討し、改善アイデアが出れば、それを実行して検証していきます。

固定費削減の検討

地代家賃の削減

地代家賃は、長年コストダウンの対象外とされてきました。しかし、様々なコストダウンの要請から、家賃交渉も通常のコストダウン策として定着しつつあります。地代家賃は、一般的に「家賃+共益費」で構成され、それぞれ「坪数✕坪単価」で表されます。
従って、坪数と坪単価について削減の検討を行います。

(1)坪単価の削減

家賃も共益費も、地区により相場があります。相場が交渉の根拠となりますので、近隣の不動産屋で調査して坪単価の交渉に臨みます。最近は家賃交渉専門業者の利用も増えてきています。手数料とコストダウン額を照らし合わせて、利用を検討するとよいでしょう。

(2)坪数の削減

坪数削減の方法は、「現物件での縮小」「現物件内での移転」「他物件への移転」が考えられます。縮小・移転の為のイニシャルコストとコストダウン額を照らし合わせて、検討しますが、会計事務所はコストシミュレーションを中心に支援を行うと良いでしょう。

販促費の最適化

販促費は一般的に売上拡大に不可欠な費用であり、単純なコストダウン対象科目とは異なる見方が必要です。

例えば、現状より更に販促費を増加する事で売上拡大が望める構造であれば追加投資すべきでしょう。販促が売上に連動する業界では、販促費は変動費であると捉えることもできます。
その場合も、販促費の費用対効果の検証は必須です。販促の実施項目別に、費用と売上拡大効果を見極めて、「効果の高いものに重点投下する」という考え方を企業に定着させる支援を行います。

販促費に費用対効果の検証と改善策の立案は、下記のようなフォーマットを用いて社長や販促担当者と共に考えると良いでしょう。
↓※媒体名を貼付で消しているので注意!!

媒体別効果検証シート

店舗型の企業でチェーン店になると、販促費のマネジメントが行き届いていないケースがあります。
例えば各店舗に販促を任せ、同じ媒体にばらばらに発注する事で、高い販促コストになっているなどのケースです。
全部門の投下している販促費を分析し、本部一括発注するなど、購買活動の改善でコストダウンの可能性があります。
同様の販促手法・ツール類は、相見積などでコストダウンを図る事も企業に定着させていく必要があります。

もっともコストのかからない販促活動は、「顧客満足」とそれをベースとした「口コミ・紹介」です。販促費の改善の為には、顧客満足アップによる口コミ紹介増加や、利用回数増加、シェアアップを先に考え、販促費を最小にする努力が不可欠です。

コストダウンサービス会社の利用について

固定費のコストダウンは多岐にわたり専門知識を要します。
電力・通信などでは、契約タイプも多岐にわたり、かつ時代と共に変化しています。
コピーや印刷といったコストも相場を知らないと交渉は難しいでしょう。
最近は固定費を中心とした「コストダウンサービス会社」があり、その活用も一つの手法としてお勧めします。

最後に

コスト削減は、勘定科目の要素の分解がベストなります。
会計事務所の内訳明細作成技術が最も活かせる経営支援テーマです。
コスト構造の可視化をし、それを社長と一緒に検討する事で成果を提供できます。
そのようなご支援で、コスト意識の高い会社に育成して頂ければと思います。