材料費削減のご支援について

材料費削減は経常利益に直結します。また、損益分岐点を下げて「儲かる体質をつくる」ために重要な支援と言えるでしょう。
材料費は会計事務所から見ると改善をイメージしにくい勘定科目ではありますが、一定の改善視点を持ち、経営者の改善アイデアを引き出す事ができれば成果を創出できます。是非お読み下さい。

経営から見た材料費の意味

材料費は、商品の重要な構成要素です。材料に加工を加え、付加価値がつき売上となります。
敢えて高額な材料に高い付加価値をつけて販売する戦略もあれば、低価格商品で徹底して
材料費のコストダウンを図るという戦略もあります。

材料費は世界相場の影響を受け、資源の乏しい日本では今後ますます単価が高まる事が予想されるでしょう。又新しい材料や素材・部品の開発も進んでおり中小企業の材料費のマネジメントは益々重要になってきます。

材料費削減の2つの考察方法

(1)材料費を内訳明細から考察する

材料費は「仕入れ先別」「品目別」に分けて考察する事で、具体的な改善アイデアが出やすくなります。
以下のようなフォーマットで内訳明細を作成し、社長と共に検討してください。場合によっては現場の責任者も交えて検討し、改善アイデアが出れば、それを実行して検証していきます。

材料費削減の検討>

(2)材料費の構成要素から考察する

材料費の構成要素は、「使用量(購入量)×購入単価」です。
従って、その削減の視点は次の2つの要素に分解されます。

●使用量を最適にすることは出来ないか?
●購入単価を最適にすることは出来ないか?

これらを最適にするための切り口と方法論を社長とともに話し合い、社長のアイデアを引き出します。

材料の使用量を最適にする具体的な切り口

材料の使用量を最適にする切り口は大きく3つあります。

●適正使用量の商品設計・製造設計を採る
●材料の歩留まりを良くする
●不良品を減らし上流工程で排除する

これらの視点を社長に問い掛けて具体的アイデアを抽出してみましょう。

(1)適正使用量の商品設計・製造設計を採る

これは材料の使用量最適化を「商品設計」段階にさかのぼって検討してみる切り口です。
材料の使用量最適化とは、「必要な品質を確保できる範囲で、材料の使用を最小にする事」を指します。そのために、商品の設計や製造ラインのあり方や製造基準を再検討します。

中小企業では市場のニーズや販売価格の変化、材料単価の変化、設備老朽化など、環境が変化しているにも関わらず「商品設計や製造方法の定期的な見直しが行われていない」ケースがあるため改善点が見つかる事があります。次のような視点で社長と検討してみましょう。

☑チェック
□商品設計の見直しで材料の使用量を減らせないか?
□製造ライン・製造方法の見直しで使用量を減らせないか?
□適正使用量を守れているか  など

(2)材料の歩留まりを良くする

歩留りとは、「購入した材料のうち、製品に反映された割合」を指します。
購入した材料を全て使い切る事ができればよいのですが、次のような理由で、購入量が100%製品に反映されることはほぼありません。
仕入れロットが大きく未使用が発生したり、保管中に陳腐化したり、製造途中でロスが出たり、端材が発生します。
次のような視点で社長と改善を検討してみましょう。

☑チェック
□保管材料の陳腐化はないか?
□仕入れロットは適正か?
□製造設備の不備で材料ロスが発生してないか
□歩留りの良い材料に変更できないか  など

(3)不良品を減らし上流工程で排除する

不良品の発生は、材料費の無駄に直結します。
何よりも、まず不良率低減に取り組む事が重要です。
また製品が完成した時には材料費・経費・労務費が組み込まれていますので、製品完成時点で不良品と判定されるとコストダメージが大きくなります。不良品が上流工程で発見される仕組みが構築されるべきです。
次のような点について社長と一緒に考えてみましょう。

☑チェック
□製品別の不良率の把握できているか?どの製品の不良率が高いか?
□不良品が発生したら原因究明と改善がなされているか?
□工程ごとに検査基準は明確化か?
□工程ごとの検査は正しく励行されているか?  など

材料の購入単価を最適にする具体的な切り口

材料の購入単価の最適化には大きく2つの方向があります。

(1)適正品質の材料を採用する

中小企業では提供すべき品質に必要な材料の質を超えて高い材料を使っていることがあります。顧客から提示された品質に対して本当にこの材料が必要かは検討してみる価値があります。

(2)仕入れ方、仕入れ先を最適化する

材料は購入するロットや納品条件・支払い条件などで購入単価が変わります。
それらの購入方法を見直すことでコストダウンにつながる事があります。
購入先の見直しや相見積もりも年に1回程度は実施する事が望ましいでしょう。

次のような点について社長と一緒に考えてみましょう。

☑チェック
□材料の過剰品質はないか?
□購入ロットを変えてコストダウンできないか?
□仕入先の集約でコストダウンできないか?
□納期・納品方法を変えてコストダウンできないか?
□支払サイトの短縮でコストダウンできないか?
□相見積もりを励行しているか?
□新しい仕入先を模索しているか?   など

顧客の要望変更による材料費負担

中小企業では、顧客の要望変更などにより材料費がコストアップになる事があります。この場合は、本来顧客に追加請求をすべきものです。中小企業の社長は次の仕事を心配してなかなか顧客に追加請求を言い出せない傾向にあります。
そもそもの契約書の内容の見直しやコストアップ理由の記録化など交渉力を高める支援が必要なケースもあります。

最後に

中小企業では、材料費のマネジメントが十分でないケースが多く見られ、材料費のコストダウン・最適化が進むと収益体質が良くなり、収益性改善に大きく貢献しています。

会計事務所は製造や施工の専門家ではありませんが、ここでお伝えしたようにコストダウ
ンの適切なひも解き方をマスターして、社長の改善アイデアを引き出して頂ければ、必ず企
業に成果を提供できます。
是非ともチャレンジして頂きたいと思います。

売上拡大の支援について

売上拡大支援は難しいとお考えの会計事務所が多いようです。確かに、売上拡大のアイデアや具体策を提案するのは専門外で難しいかもしれません。しかし売上拡大を考える正しい思考プロセスを提供し、経営者から改善アイデアを引き出し、目標管理・行動管理をしていけば結果として成果が生み出せます。
多くの企業で望まれる売上拡大の支援方法をお伝えします。是非お読み下さい。

売上拡大支援のスタンス

売上拡大というテーマは会計事務所にとって支援しにくいと感じるテーマかもしれませんが、経営のブレーンとして支援できる事は数多くあります。

●キャッシュフローから逆算して「必要な売上高を示唆する」
●セグメント別売上と限界利益等から「売上が利益とキャッシュを生む分野を示唆する」
●客数と客単価など「売上の構成要素をひもとき、ツボを重点的に考えてもらう」
●アクションプランの策定と目標管理で「行動してもらい、検証する」

このようなコーチングスタイルで「経営者のアイデアと行動を引き出す」ことで、販売促進手法や営業ノウハウなどを持たなくても売上拡大支援の成果は提供できます。

ベースとなる会計による売上拡大支援

中小企業では売上拡大に強い関心が向けられますが「売上が利益に結びつくためのコスト構造改善」や「利益やキャッシュを最大にするために重点的に売上拡大をすべき分野」がきちんと考えられているケースは少ないのではないでしょうか。
売上拡大支援にあたっては、事前に「利益とキャッシュが残る体質」をつくりこみ、また「それらが最大になる分野」を選び、目的的に活動して頂くように支援する必要があります。
「儲かる体質を作り、儲かる分野の売上拡大する」というのが基本です。

(1)目標売上高の明示

変動損益を活用し、「目標売上高」と「現状との差異」を算出し、どの程度の売上高があがれば良いかを社長と共有する事が売上拡大支援の第一歩です。
その際、必要利益、固定費削減・変動費削減を先に考え、「必要売上高を最小にして、売上拡大を考える」という思考になってもらうよう支援したいものです。また、売上拡大の為には販促費等が増加する可能性があるのでその点も十分考慮する必要があります。

目標売上高の設定の表

(2)セグメント別売上の分析

セグメント会計の手法を活用し、売上分類毎の利益構造を明らかにし、伸ばすべき売上の分野を明らかにします。更に、可能なら売上分野毎の売掛債権額や運転資金差をリンクさせる事ができれば、資金も加味した分析ができるでしょう。

明らかに採算が合わない分野を縮小・撤退して全体利益や資金を優先すべきケースもあります。セグメントは、商品別・顧客別・店舗別・エリア別など企業の実態に合わせて行ってください。しっくりくるまで複数の切り口で検討する方が良いでしょう。

売上内容の分析

売上拡大支援の基本的な進め方

売上拡大を漠然と考えるのではなく、売上高を構成要素に分け、社長に重要な要素をひとつずつ考えてもらうと改善が進みます。

※売上高の構成要素とは、飲食店であれば「客数✕客単価」、対事業所販売の業種であれば「顧客数✕1顧客当り販売数量✕販売単価」というように売上の因数分解した項目を指します。

売上拡大支援の進め方は次の通りです。

●売上を構成要素に分解する。
●構成要素のどこの改善が重要かという課題特定をする
●その推進に向けたプロセスを考える
●それが着実に推進されるように行動することを支援する
●行動した結果を評価し見直す

要は、売上拡大のPⅮCAサイクルが機能するように支援するという事です。
魔法の杖のように売上を増やす方法が見つかるのは極めて稀であり、コツコツと売上拡大の改善サイクルをまわす習慣を付けて頂く事が重要です。

売上の構成要素を分ける

(1)内訳明細作成技術を使う

対事業所向け事業であれば、顧客別売上高・担当者別売上高などの内訳を明示してどこで売上が伸ばせそうか、どうすれば伸ばせるかを考えて頂きます。

下の表は顧客別売上に商品別の内訳を加味した明細です。この数値をみて、誰にどの商品を販売するのが売上拡大に効果があるかを思考して頂くだけでも具体的な活動が見えてきます。

対事業所販売の売上の内訳明細分析

(2)KPIをミエルカする

対消費者向け事業であれば、下の表のように「客数×購買率×客単価」などのKPIに分解して、どのKPIを改善すべきか、どうすれば改善できるかを考えて頂きます。
業種によっては、時間帯別・曜日別の客数などが重要なKPIになる業種もあります。

※KPI(Key Performance Indicators):重要業績評価指標とは、目標達成の度合いを測定する基準となる指標群の事です。
ここでは「財務指標に影響を与え構成要素となり得る指標群」という意味で使います。

対消費者向け販売のKPI分析

売上の内訳明細やKPIは企業の実態に合わせて考える必要があります。

もう少し詳しく、業種・業態別の構成要素のひも解き方と支援の仕方を見てみましょう。

業種・業態別の売上拡大支援

売上の構成要素は、業種・業態により異なります。それは売上拡大の管理ポイントが異なり、売上拡大のツボが異なるということです。
ここでは、2つのタイプの売上拡大支援を見てみましょう。

(1)対事業所販売・生産財

顧客企業の製品を構成する物やサービス、事業に必要な設備やサービスを提供する事業を指します。
例えば、下請け建設業、部品・副資材製造業、加工サービス、技術サービス、運送業、設備販売・メンテナンス業、印刷業などの業界です。

見込客に自社の取扱製品・サービスを納入するために、「ニーズ把握」「提案・見積もり」「口座開設」という新規顧客開拓活動を行い、口座開設できた顧客に「注文増加」「取扱い商品追加」「回収」などの営業活動を行います。

これらの業界の売上は「顧客数✕1顧客あたり販売数量✕販売単価」に分解されます。
この構成要素のどこが重要かという課題特定をし、その推進に向けたプロセスを考え、それが着実に推進されるように行動することを支援します。

●顧客数の増加が重要な場合
可能客をリスティングし、調査及び評価をする
・開拓ターゲットを決める
・攻略方法やセールスツールを決定する
・営業のアクション管理を行う
・結果評価と是正をする

●1顧客あたり販売数量が重要な場合
・顧客別のシェアを把握し、重点拡販顧客を設定する
・売込強化商品を決定する
・提案手法を決定する
・アクション管理をし、結果評価と是正をする

●販売単価が重要な場合
・商品別粗利を把握する
・材料・外注の単価推移を確認する
・単価UP商品と金額を決定する
・交渉先の特定と交渉手法を決定する
・アクション管理をし、結果評価と是正をする

★このようなB2B企業の場合の売上拡大支援を詳しく知りたい方には、無料会員登録を頂ければ、インターフェイスのMAS講座のレジュメをご覧頂き、eラーニングを試聴頂けます。
ターゲット評価・営業のアクション管理・顧客のシェアUPなどのフォーマットもご覧頂けます。是非ご研究下さい。

(2)対消費者販売・サービス

消費者が日常的に利用する店舗型サービスを営む事業、例えば、飲食店、美容室、エステ、
マッサージ店などについて考えましょう。

このような業種では、利用者のニーズは日常的・定期的に発生し、店頭・サイン・チラシ広告などで「店舗に集客」、「サービスを提供」「満足して頂き」「リピート客・固定客になって頂き」「紹介を頂く」といった店舗営業活動を行います。

 

これらの業界の売上は、「来店客数×客単価」に分解され、更に来店客数は「新規顧客数+リピート客数+愛顧客客数」に分解されます。顧客台帳がある美容室やエステなどではこの分解をよく利用します。

●新規来店数UPが重要な場合 
・販促企画別の費用対効果を評価する
・企画改善の他、強化企画・中止企画の決定など販促企画の見直しをする
・アクション管理をし、結果評価と是正をする

●リピート率改善が重要な場合
・顧客満足度調査をし、改善策を起案する
・リピート販促の改善を考える
・リピート率の低い担当者の教育を考える
・アクション管理をし、結果評価と是正をする

●客単価改善が重要な場合
・推奨サービスの特定をする
・おすすめトークやPOPを考える
・アクション管理をし、結果評価と是正をする

同じサービス業でも、飲食店などでは顧客構造が見えにくいため「曜日別来客数」「時間帯別来店客数」などの指標を多く使います。
小売店など、来店が必ずしも購買につながらない場合は「来店客数✕購買率✕客単価」という分解になります。
また一戸建て住宅建築・自動車販売・家具販売のような対消費者向けの耐久消費財の場合は「見込客数✕契約率✕購入単価」といった分解になります。

このように、企業の実態に合わせて、売上の構成要素を分解し改善活動の支援をしていく事が大切です。

また、売上の構成要素それぞれの具体的な改善手法について会計事務所が具体的指導をするのは難しいと思います。
社長や営業部長・店長に、どうすれば改善できるかを考えて頂き、その推進管理と評価という形で支援すれば良い結果が得られます。

中小企業の売上拡大テーマの優先度

売上拡大というと、顧客数を増やす為に新規顧客を開拓するという思考になりがちです。
しかし中小企業においては、機会損失が多く客単価や案件単価にロスがある場合も多く見られます。
したがって、「売上拡大は成果に近いところから着手する」という点を意識してテーマの優先度決めの支援をする必要があります。

インターフェイス経営支援倶楽部の会員事務所様の指導事例では、「単価の見直し・改善」から着手して大きな成果を生んでいます。

これは、中小企業では、原価・売価の定期的見直しや顧客との交渉活動が出来ていないという体質的・習慣的問題がある事を意味するものと思われます。

中小企業向けのMASでは下記のような改善ステップを推進して成果を創出しているケースが多く見られます。

例)対事業所販売
Step1.見積りをきちんとして単価を適正にする
Step2.既存客のシェア・アップを図る
Step3.更に不足する売上を新規顧客開拓で補う

例)対消費者販売
Step1.客単価がきちんと確保できる接客をする
Step2.リピート客が増える接客をする
Step3.新規来店客増加の販促を打つ

一般的に、単価アップや既存客シェア・アップに販促費は不要で、「増えた粗利がそのまま経常利益」になりますから、赤字企業も一気に大幅黒字化というケースも多く出ています。

もちろん売上高を大幅に増やし、成長性を確保しようと思うと、新しい顧客の開拓は必須であり、必ず取り組まなければなりません。
しかし、単価や既存客シェアに機会損失があるままで新規顧客開拓をしても効率的な売上拡大や利益創造はなかなか実現できません。

インターフェイス顧客事務所の指導成果事例が実務経営ニュースに多数掲載されています。
ご関心のある方は、無料会員登録して頂き是非お読み下さい。

獲得した売上で利益を残すために

(1)全社で情報を共有する

中小企業では、獲得した売上から利益とキャッシュを残す仕組みが不足するケースが多々あります。
例えば、
●営業から製造の状況が見えないため「受注しても外注に出さざるを得ない」
●製造から受注予測が見えず「段取りが遅れコストアップになる」 
といった状態です。

このような事態を解消し、せっかく獲得した売上で利益とキャシュを残すには、受注から製造・納品に至るまでの情報を、下図のようなかたちで共有し、「全社で利益を残す知恵を出し行動する」という取り組みも必要です。

社内情報共有

(2)キャパシティを確保する

キャパシティとは、顧客に商品やサービスを提供するための「設備・人材などの許容量」を指します。
設備がフル稼働な分野の商品を受注しても、外注費が増えたり、納期が遅れたりという事態に陥ります。この場合、「設備増強する」か「稼働率の低い設備でできる商品を受注する」道を考えるべきかもしれません。また、サービスを提供する人材の不足や育成遅れの状態で更に受注を増やすと、品質不良が起きるかもしれません。

売上とは、商品やサービスを適正に提供して、「顧客満足とリピートに繋げる事」がゴールですので、このキャパシティの考察は極めて重要と言えます。
MASの実務では、売上拡大の為に、設備増強や人材採用・育成のコーチングが必要になるケースもでてきます。

最後に

儲からない売上拡大に取り組むケースをよく耳にします。販促コストをかけ、安い価格でマーケティングをし、リピート率の低い顧客が増え、結果として減益といった類の話しです。
会計事務所の売上拡大支援は「経常利益とキャッシュが増える売上拡大支援」であるべきです。また、そのような支援が出来るのは、財務と会計が読める会計事務所だけです。
売上拡大の具体的提案はできなくても、社長と組織が持つポテンシャルを最大限に引き出すことができれば売上拡大も出来ますし、高収益経営を実現して頂く事ができます。
是非、中小企業の売上拡大支援に一歩踏み出して頂きたいと思います。

MAS事業化の成長ステージと成功要因

会計業界においてMASの重要性が語られ、事業化にチャレンジされる会計事務所も増えて参りました。しかしそのMAS事業化に成功している会計事務所はまだ少数のようです。
ここでは、MAS事業化の成功要因について考えてみます。是非お読み下さい。

MAS事業の立上期の成功要因は「指導成果」である

立上期とは、MAS契約を数件受注する段階を指します。

この時期の成功要因は「指導成果」にあります。経営者にとってMAS指導を受ける価値は「自分の会社が良くなる事」ですから、その事は容易にご理解頂けると思います。
指導成果の提供には2つの価値があります。

●「契約継続率」が高くなり、「口コミ・紹介」による新規拡大の機会が増えます。
●事務所に「MASへの自信」が湧いてきて「事業拡大の意欲」へとつながります。

反対に指導成果が出ないと「解約」が増えいつまでも収入の蓄積ができずに苦労する事になり、MASへの自信が持てず、工数もかかり「事業化は難しいという発想」になってきます。

立上期に指導成果を創出するポイントが2つあります。

●指導成果を出しやすい企業を選ぶ
●指導成果を提供できる可能性の高い人材を選ぶ

(1)指導成果を出しやすい企業を選ぶ

指導成果創出の為には、「指導成果を創出できる経営ロジック」をマスターする事はもちろんですが、「最初は成果の出やすい企業を選んで提案」する事が大事です
成果の出やすい企業の要素は次の3つです。

●経営者の問題意識が高い
●素直で気づけば即行動を起こす
●財務が過度に悪くない

会計事務所では、最初から難易度の高い「財務状態の悪化した企業」にMASを提供しようする傾向がみられます。これは経営状態の悪い企業を救いたいという愛情の現れでしょう。
しかし、そのような企業のMASはやや難易度が高く、少し経験を積み指導成果を創出した後で取り組まれるのが良いと思います。

(2)指導成果を提供できる可能性の高い人材を選ぶ

指導成果を出せる手法が事務所内で固まるまでは「適性のある方を担当に任命」して推進するのが成功確率を高めるポイントです。
もちろん、自らも経営をしている事務所の代表が最初に取り組まれるのが一番です。
それが難しく職員さんから最初のMAS担当者を選ぶ場合には次のような選択基準を持たれる事をお勧めします。

●中小企業の経営支援への思いが強い
●素直で行動力があり、わからない事を見識者に相談する姿勢がある
●継続して取り組む力がある

この3つがMAS担当者に不可欠な基礎能力です。
このような方にしっかりしたMASロジックを学んでいただき推進する事をお勧めします。

MAS事業確立期の成功要因は「時間確保」である

確立期とは指導成果をベースに、10件~20件の指導を行う段階です。
立上期のMAS担当者に任命された方も、会計業務に追われMAS業務に取り組む時間的余裕が十分にある状態とは言えないでしょう。この段階で必要になるのが、MAS担当者の税務業務を他の監査担当者に移譲して、MAS工数を確保する事です。

「MASが1件受注できる度に税務担当先を他の方に移譲する」など、組織的にMAS工数を確保する事が、この確立期の成功要因です。

この段階ではトップの先生にお願いしたい重要な事が2点あります。

①「経営支援型」会計事務所になるというコミットメント
② 監査担当者が生産性を高めて税務顧問先の受け皿を作るという合意形成と実践

MAS事業はMAS担当者だけで行えるものではなく、組織的に取り組まないと成功しません。組織全体でMAS事業に取り組める体制を整え、MAS工数を確保する事が不可欠なのです。また、税務部門の皆さんにおいては、「MAS事業化を機会に生産性を高めて受け皿を作る」というお気持ちをお持ち頂きたいと思います。

MAS事業拡大期の成功要因は「MAS組織の確立」である

拡大期とは指導先が50件、更に100件を目指せる段階を指します。
最初のMAS担当者が指導成果を出し、MAS契約先企業の数が増えていくと、口コミ紹介などでMASの商談案件が更に拡大します。
この段階では、事業拡大に向けた組織体制を本格的に整備する必要があります。

組織体制整備のひとつの方法は監査担当者でMASに取り組みたい方をMAS担当者に任命する事です。人材の選定基準は立上期と同じです。

●中小企業の経営支援への思いが強い
●素直で行動力があり、わからない事を見識者に相談する姿勢がある
●継続して取り組む力がある

もうひとつの方法は新規採用です。これは人物が良くわからない状態でのMAS担当者任命となりますので、極めて慎重に行いたいものです。
選定基準は、立上期のMAS担当者の選定基準に加えて、

●事務所の理念への共感度
●先輩MAS担当者・監査担当者への敬意の念

等が必要となります。

「そのような人材を採用できる時代ではないよ」という声が聞こえてきそうですね・・・。
実は、経営コンサルタントになりたいという人材は結構多く存在します。
中小企業の経営支援をしたい人材は案外多いものです。

●若手のバンカー
●保険営業マン
●中小企業診断士に合格したが独立する力はまだない若手
●コンサル志向の新卒大学生

これらの人材層をターゲットにMAS担当者のペルソナを明らかにして採用マーケティングを展開すれば、必要面接数は確保できます。

この話をすると「会計や税務がわからない人材にMASができるのか?」という質問を頂きます。この人材育成手法は別の項でお伝えしたいと思います。

指導成果をベースとしたマーケティングは比較的容易である

これまでMASの指導成果とMAS工数確保・人材確保の話しが続きました。
ここまでお読み頂いた多くの方は「MASの受注力や見込客発掘のマーケティングは成功要因ではないのか?」という疑問が湧いてきたのではないでしょうか?

もちろん、MAS事業の立上期では数件の受注が出来なければ指導成果も創出しようがありませんから受注は不可欠です。しかし会計事務所の顧客構造や税務顧問を基盤とした信頼感や社会的信頼性があれば、数件の受注が出来ない訳がありません。
それは正しいMAS商談の進め方をマスターすれば十分に可能です。

MAS商談の進め方にご関心のある方は、無料会員に登録頂き、レジュメとeラーニングでご研究下さい。

受注した企業で指導成果を出せば、同業者の社長やお付き合いのある社長を紹介頂けます。MAS指導先のメインバンクの融資担当者や保険営業も、その素晴らしさに気づいて融資先や契約先を紹介してくれるようになります。
この「指導成果を軸としたマーケティング」だけで年商5千万円程度のMAS事業を作り上げる事は十分可能なのです。
そのマーケティング手法については、別の項や弊社会員事務所様の事例でお伝えしたいと思います。

最後に

事業には必ず成功要因があります。
MAS事業については、各成長ステージの最大の成功要因は、「指導成果」「MAS担当者の工数確保」「組織体制整備」なのです。
確かな指導品質と、MAS担当者の工数確保ができれば、MAS事業は確実に成長します。
是非とも正しいステップで、正しいポイントをおさえてMAS事業化を成功させて頂ければ幸いです。

正しいMAS商談の進め方にご関心のある方は、無料会員に登録頂きレジュメとeラーニングでご研究下さい。

財務と現場をつなぐキャッシュフロー改善ツリー

MASで指導成果を創出するには、財務上の問題点からその原因を現場に求め、社長に改善アイデアを出して頂き行動して頂く必要があります。
そのような支援を簡便法で行えるのがキャッシュフロー改善ツリーです。
MAS担当者のみならず、監査担当者の経営コミュニケーションにも活用できる手法です。是非お読み下さい。

このページの目次

キャッシュフロー改善ツリーとは?

キャッシュフロー改善ツリーは「財務と経営活動をつなぐ」ツールで、財務数値上の大きな問題を見極め、その原因はどこにあるかを考えるMASツールです。

具体的には

●CFの重要構成要素である「営業CF」、
その要因である「売上」「変動費」「固定費」「運転資金差」を概観する
●更に「投資CF」「財務CF」を概観する
●そして、検討すべき問題点を特定して深掘りする

という構成になっており社長と会計事務所の「経営コミュニケーション」を可能にするものです。

キャッシュフロー改善ツリーの用途

キャッシュフロー改善ツリーは様々な場面で活用できます。

①MAS担当者の事前考察用のツールとして
 ・これから営業する企業の事前考察で仮説を立てる。
 ・MAS契約した企業の財務と経営活動の関連について仮説を立てる

②社長とMAS担当者が一緒に考えるツールとして
 ・営業先の社長と、財務改善を一緒に考える
  ☞提案の下地作りをして、「中経策定」や「MAS提案」につなげる
 ・MAS契約先企業の社長に財務と経営活動のつながりをイメージしてもらう

③社長と監査担当者がCF改善を一緒に考えるツールとして
 ・財務をベースに経営に踏み込んだ会話ができるため監査訪問時の付加価値の高い会話
が可能になる

ここでは、キャッシュフロー改善ツリーの「簡易版」でイメージして頂きます。

問題を因数分解するキャッシュフロー改善ツリー

(1)大枠の改善ポイントを考える

まず、CFの構成要素の大枠を社長に見せながら内容をお伝えします。

キャッシュフロー改善ツリー

CFと言ってもイメージできない社長もおられると思うので、

●CFは、一定期間の商売でいくら現預金が増えたか減ったかを表すものです
●当然それは増えた方がいいですよね?

と言った具合でわかりやすい会話でスタートすればよいでしょう。
そしてそのCFの構成要素をイメージして頂きながらCF改善の方向性を考えて頂きます。

●CFを増やすには、
●営業CFを増やすか、投資CFを適正な範囲で行うか、借入返済などの財務CFを適正な金額にするかという3つの方法があります
●社長はどれを改善するのがいいと思われますか?

更に、

●営業CFを増やすには、
●売上拡大か、材料費や外注費などの変動費削減か、固定費削減か、運転資金差を減らすかという4つの方法があります
●社長はどれを改善するのがいいと思われますか?

このようにCFを改善するポイントを社長と会話しながら特定していきます。

(2)売上拡大が課題の場合

仮に、営業CFの売上高が改善ポイントであるという事であれば、売上拡大をゴールとしたロジックツリーを使って、改善ポイントを深掘りします。

【対事業所ビジネスの場合】

売上拡大のツボを探す

売上拡大をゴールに社長と以下のような掘り下げを行います。

●顧客数を増やす
●既存顧客の取引量を増やす
●単価を適正にする という3つの方法が考えられますが
●改善ポイントはどれだと思われますか?

といった具合です。

仮に、「顧客数を増やす―新規顧客を増やす」が重要となれば、

・商圏内のターゲットは誰かというリスティング
・ターゲットの発注量や成長性はどうか?
・競合はどこが入っており、強みと弱みは何か?
・自社が新規取引を実現する為の武器は何か?
・誰が、いつ、どんな方法で、アプローチするか?

といった流れで具体的なアクションプランの検討に入ります。

仮に「適正単価で売る」が重要となれば、

・どの顧客のどの商品を適正単価にするのか?
・材料費や外注費の推移をみて、どこまでが適正単価なのか?
・リスクの低い顧客など、どの顧客から順番に交渉するのか?
・誰が、いつ、どんな方法で、アプローチするのか?

といった流れで具体的アクションプランの検討に入ります。

これらは、経営計画の需要なインプット情報となり、財務計画に反映されて財務のモニタリングと同時にアクションプランのモニタリング対象となります。

【対消費者ビジネスの場合】

参考までに、対消費者ビジネス(B2C)の場合の売上拡大ロジックも載せておきます。

売上拡大のツボーB2C

ここでは、売上拡大を、顧客数✕購買率✕客単価で因数分解しています。

●小売業では、この因数分解が適していると思います
●美容室や飲食店では来店=購買というケースが多いでしょうから購買率は省いて検討して結構です。
●飲食店では、顧客名簿獲得率が低いので、顧客数を新規顧客・固定客化率・来店頻度と因数分解するのが難しいでしょうから、時間帯別顧客数・曜日別顧客数などに因数分解してもいいですね。

重要なのは、その企業の実態に合わせた因数分解に加工して社長と一緒に考える事です。

★売上拡大支援に関心のある方は、関連記事「売上拡大の支援について」をご覧ください。

(3)材料費削減が課題の場合

材料費の場合は、材料費削減をゴールとしたロジックツリーでひも解きます。

変動費削減のツボを探す

材料費は、「使用量削減」と「単価低減」に因数分解して考えます。

使用量の削減は、材料の歩留り(購入量に占める製品に反映された量の割合)の改善を考えたり、商品そのものの設計・仕様の見直しや製造方法の見直しなど、現場で発生しているロスがないかという視点で社長に考えてもらいます。

材料の単価の低減については、購入ロットや単価の見直し、更に購入先の見直しなど、購買活動の妥当性などを見直してみて頂きます。

★材料費削減支援に関心のある方は、関連記事「材料費削減のご支援」をご覧ください。

(4)外注費削減が課題の場合

外注費の場合は、外注費削減をゴールとしたロジックツリーでひも解きます。

変動費削減のツボを探すー外注費

外注費は、「内製化を増やす」と「単価低減」に因数分解して考えます。

内製化を増やす為には、工程改善で生産性を高めたり、顧客の納期を交渉する事で工程にゆとりが出て外注がへらないかなど、社長に内製化の量を増やすための対策を考えてもらいます。

外注の単価の低減については、発注単価の妥当性の見直し、外注先が単価面で協力しやすくなるような発注の仕方(納期やロット)がないかという購買活動の妥当性などを見直してみて頂きます。

★外注費削減支援に関心のある方は、関連記事「外注費削減のご支援について」をご覧ください。

問題を整理するフォーマット

キャッシュフロー改善ツリーで財務改善ポイントの特定と深掘りができたら次のようなフォーマットに検討結果を整理しておくとよいでしょう。

財務改善の方向性

最後に

会計事務所の皆様は、現場の問題に踏み込んだ会話をするのは難しいとお考えの方も多いと思います。

しかし、勘定科目ごとにその数値の要因を因数分解して社長に問いかければ社長から改善アイデアが出ます。
それを財務計画と行動計画に反映し、月次で財務と行動のモニタリングをすれば改善成果が創出できます。

MASの定義とサービスの概論

MASは、その定義とサービスモデルがはっきりしないと、あやふやなサービスとなってしまいます。
ここでは私共が提唱し、営業面・指導面共に成果を創出することが出来ているMASの定義とサービスの概論についてお伝えします。是非お読み下さい。

小さな会社の経営管理コンサルティング

私どもは会計業界が提供するMASを経営コンサルタント業界のひとつの業態であると考えています。その経営コンサルタント業界では、総合的なコンサルティングから「業種特化コンサルティング」と「テーマ特化コンサルティング」に分化しつつあります。
私共ではMASを「経営管理というテーマ特化型コンサルティング」であると考えます。

MASの定義とサービス概論

また、MASの対象は会計事務所の主要顧客である小企業・零細企業です。
私共の会員事務所様では平均月額8万円というMASのフィーを獲得しておられます。
その金額から考えると意外かもしれませんが、会員事務所様のMAS受注先企業層は、社員数5人~9人が一番多く、次いで社員数10人~19人の層です。

MASの定義ピラミッド

その層の企業は、きちんとした経営計画もなく目標管理が出来ていない事が多く、結果として機会損失が発生し経営に苦しんでいます。そのような企業に、「計画」「実施」「見直し」という経営管理の基本の仕組みを提供し「定着」して頂くと機会損失が低減します。

また会計事務所の強みは「会計データを見る事ができ、その内容を読めること」です。この強みをフルに活用して、小企業に経営管理サイクルを定着させ機会損失を無くす事が可能です。

これらから私どもはMASを「小さな会社の経営管理コンサルティング」と定義しています。

会計・財務に限定したコンサルティングの価値と限界

会計事務所がイメージするMASのイメージは、

●財務分析をし、財務計画を立案し、毎月財務モニタリングを行うというサービス

ではないでしょうか?
もちろん、そのような会計・財務を中心としたサービスも大変価値のあるものだと思いますし、会計・財務を意識して経営する社長が増えれば機会損失も減ってくると思います。

しかし、財務と現場改善のイメージがつながらない経営者も多く、なかなか成果が創出できないとか、有料サービスとして継続できないといった問題が発生するとお聞きします。
感覚的ですが、財務計画とモニタリングの範囲で十分な成果を創出できる経営者はサービス提供をした方の2割程度ではないかと思います。
もちろん、会計・財務から問題をひも解くのは当然重要ですが、

●財務数値と「現場改善のつながりをひも解ける」サービス

を提供するとMASの市場も広がってきます。

会計という強みをフル活用し現場の課題に迫る

より多くの企業に成果を提供できるMASを展開するには、財務をベースに現場の問題をひも解き、経営者の行動革新につながるサービスを提供する必要があります。

(1)経営現場の行動革新につながる財務分析の深掘りとは

医者は、問診・検温・触診などの初期診断で疾病の仮説を立て、レントゲン・血液検査、更には細胞検査等の診断を多段階に実施して、疾病を特定します。そして疾病が特定できてから処置を考えます。
決算書は大きな問題個所を発見するための言わばレントゲンであり、それだけでは「原因究明」と「処置」まで考えることは出来ません。しかし、会計事務所はに会計データが見られるという他にない強みがあり、詳細検査を行うための技術があります。
それは「内訳明細作成技術」や「管理会計技術」です。

財務分析で、改善すべき勘定科目が特定できれば、その科目の内訳明細を作る事で問題の詳細に迫る事が可能です。
例えば社長に「材料費を1%コストダウンできないか?」というより、「A社から仕入れているBという材料を5%削減できる方法はないか?」と問いかけた方がより具体的な改善策が浮かぶ可能性が高まります。

また、例えば管理会計の技術を活かし、「顧客別限界利益」や「商品別限界利益」を明らかにして、「どの顧客にどの商品を売る事に注力すると効率的に限界利益を増やせるか?」を問いかける事も可能です。

このように財務分析から改善すべき勘定科目を特定し更にデータを深掘りして、経営者に改善を考える機会と環境を提供すれば経営者の思考が深まります。

(2)財務と経営現場で起きている現象を繋げる

更に、会計データから経営現場の問題点を考察するようにリードする事も必要です。
例えば、「外注費比率が高い」という場合、

①見積もり・受注の単価が低いのか?
②内製工程がオーバーフローして外注がでているのか?
③外注単価が高いのか?

などの原因系を問いかける必要があります。その原因系により対策が異なるからです。
このように会計データと現場で起きている現象との整合性を読み、行動レベル・意思決定レベルの問題を特定して、改善を考えてもらうのがMAS担当者の役割です。
この事により、財務を改善するためのテーマとアクションが明確になり成果創出がやりやすくなってきます。
とは言え、会計データを扱う会計事務所で、経営現場にある原因系のひも解き方(何を問いかければよいか)をすぐにマスターするのは難しいと思います。

簡便に現場の原因系を問いかけるツールとして「キャッシュフロー改善ツリー」を用意しております。
ご関心のある方は関連記事をご覧下さい。

会計という強みをフル活用し現場の課題に迫る

会計事務所様から「経営改善の具体的アドバイスができない」という話をお聞きしますが私どもは「具体的アドバイスは重要ではない」と考えています。それができるに越したことはありませんが、それには長い年月と経験を要します。
それよりもMASでは、組織が持つ最大限のパフォーマンスを「引き出すための技術」の方が重要であると考えており、弊社の会員事務所様でもその技術により多くの経営改善成果を創出しています。

そもそも中小企業には機会損失が多く、本来持つ能力が発揮できていませんので、その可能性を引き出す外部専門家はとても価値のあるものとして行け入れられます。
MASで価値ある外部専門家として受け入れられるためには3つの重要な要素があります。

●経営者の夢・目標の為に行う
●重要な経営課題を共有する
●正しい聴き方で組織に気づきと行動変容を促す

   

詳しく見ていきましょう。

(1)経営者の夢・目標の為に行う

会計事務所は経営改善を促す際に、数値上の問題点を指摘することが多いようです。しかし、指摘は対立した関係を生み、経営者の納得や自発性が生まれにくくなってしまいます。

一方、経営者に夢や目標やありたい姿、そしてご自身の問題意識を聴くと自発的に発言するようになります。MASの第1歩は、この経営者の夢・目標を傾聴し、共感することだと私共は考えます。

その夢・目標を実現する為の会合がMAS会議であるという認識に立てば、経営者と会計事務所が「同じ方向に向かって話し合う関係性と環境」ができます。指摘による対立ではなく、「夢・目標に照らして何が問題か」を同じ方向を向いて話し合う事がMASのスタートです。

(2)重要な経営課題を共有する

中小企業が経営改善を考えるとき、多くのテーマに同時に取り組むのは難しいものです。
従って、経営者の夢・目標に照らして、何が一番問題かを話し合い、「重要課題を特定」して「経営者と共有」する事が大事です。

その為には、財務的側面からの課題、経営機能的側面や経営環境の側面からの課題などを抽出しし「重要な経営課題を特定・共有」するステップが重要となります。

(3)正しい聴き方で組織に気づきと行動変容を促す

経営者の行動変容は、「自らの気付き」から生まれます。指摘や改善策提案はあまり効果を生みません。それよりも「正しい聴き方」「良い質問」で気付きを与える事が重要です。

例えば、「外注費が高い要因は何が考えられますか?」「その要因を改善するには、どんな方法がありますか?」「それはいつから実行できますか?」「どなたが担当しますか?」「どの位改善できそうですか?」など、会計から仮説を立て、正しい聴き方で経営者自らが考えてもらう環境を提供し、社長や組織の持つ能力・パフォーマンスを最大限引き出します。従って、MAS担当者はこの傾聴の技術をマスターする事が極めて重要です。

MAS担当者の役割

これまでの内容を踏まえ、MAS担当者の重要な役割や経営支援に向かう姿勢についてまとめておきます。それは大きく3つあります。

●視点を与える
●傾聴する
●算盤をはじく
●これらを通じて「立ち止まって考える機会」を提供する

(1)視点を与える

問題発見やその解決を考える切り口を提供し、考えてもらいます。
財務分析はもちろん、その詳細把握のために必要なデータのとり方、問題の整理・分類のためのフレーム、解決策を考えるためのロジックなどを使いこなし、「社長の気づき」や「改善アイデアの抽出」をサポートします。

(2)傾聴する

改善テーマや解決のアイデアについては、社長の考えを良く聴き、ご自身の思考を整理していくサポートが重要です。傾聴する事により社長の考えがまとまっていく事が重要です。
その際、財務への影響を視野に聴き、的確に質問を行うことによって、財務改善効果を類推しながら意思決定の支援をしていく事になります。

(3)算盤をはじく

社長が戦略や経営改善のためのアイデアや行動が明確に出来たら、実際に着手する前に意思決定の為の財務のシミュレーションを行います。シミュレーションの結果が好ましくなければ、再度検討を行い、最終的に実行に移すための意思決定をサポートします。

(4)これらを通じて、「立ち止まって考える機会」を提供する

経営の構想は実際に実行してみないと成果検証は出来ません。
しかし、実行した結果を評価しそれを是正し、粘り強く改善していけば成果が出てくるものです。常に走り続けている経営者に、MAS担当者と共に考えるという場を提供することにより、好ましいPDCAサイクルを定着してもらいます。

経営者の良きパートナーとして、「組織が持つ力を最大限に発揮できる環境を提供すること」がMAS担当者の重要な役割です。

最後に

会計事務所がMASを提供するうえで最もハードルとなるのが、財務から「現場の問題をひもとき、改善を考えて頂く視点」でしょう。
このサイトVAⅬUESでは、その手法について可能な限り公開しております。

財務と現場をつなぐキャッシュフロー改善ツリーで概要をイメージして頂いたり、
勘定科目別のひも解き方のコンテンツでご研究頂ければ幸いです。

顧問先からのMAS受注

多くの顧問先企業を抱える会計事務所が、MASの好ましい対象企業に正しい提案手法で提案すれば、受注と成果創出の両方が実現できます。ここではMAS受注のターゲット選定と提案のフロー及びその概要についてお伝えします。この内容は新規見込客との商談にも使えるものです。
MAS事業のスタートアップ段階の営業活動最適化のために是非お読み下さい。

初期段階のMAS営業の成功ポイント

(1)成果を出しやすい企業に提案する

MAS事業の初期段階の成功要因は、「MAS契約した企業の成果を創出すること」です。
その理由は次の通りです。

●成果創出が会計事務所のMASに対する「自信」になる
●成果創出した企業からの「口コミ・紹介による新規拡大」にもつながる。

従って、初期段階のMAS営業は「成果を出しやすい企業を選ぶ」事が重要です。

「苦しい企業の経営支援をするのがMASでは?」という声も聞こえてきそうですね。
それはある程度MASの力量がついてから着手する対象として考えた方が良いと思います。業績が過度に悪い企業では、資金繰り対応が指導の中心になり、場合によってはリスケやBKミーティングの同席など工数が膨らみ、かつなかなか成果創出が難しいものです。

もちろん、そのような企業を放置するという事ではありません。

●成果創出しやすい企業で実績を出し
●早く苦しい企業の支援ができるようになって頂きたい

という意味です。
成果を出しやすい企業とは次のような企業の事です。

①経営者の意欲・問題意識が高い

MASは経営者のありたい姿を実現するためのサービスですから、意欲や問題意識が低い企業には
その価値を感じて頂きにくいものです。意欲・問題意識が高ければ現状とのGAPに関心が高く、その
解決に向けたサポーターを欲します。

②経営者が、素直で行動力がある

企業の改善成果を出せるのは経営者であり、MASを提供する会計事務所はそのサポ
ートをする役割です。従って経営者が行動を起こさない限り成果は生まれません。
素直で、気づけば行動するタイプの経営者を選ぶのが大事です。

③過度に財務状況が悪くない

少しくらいの赤字や債務超過は大丈夫ですが、営業キャッシュフローを大きく上回る借入返済があったりすると、
改善の成果がキャッシュフロー改善につながりにくく、資金繰り・資金調達・リスケなどの対応が必要になりがちです。
このような企業は力量がついてから取り組むのが妥当です。

(2)複数の企業に提案する

初期段階で、高確率なMAS受注をするのは難しいものです。営業のトレーニングのようなお気持ちで「最低3社、できれば5社リスティング」して計画的に提案して頂きたいと思います。

以下にご説明するMASの営業手法は企業のための「プレ・MAS(経営診断と課題形成)」を伴う誠実なものです。言わば経営改善の方向をご一緒に考えるものですから、そのような提案であれば、受注できなくても経営者の心情を害する事はありません。

MAS受注ができる3つの条件 ~自信・共感・工数~

MAS受注が実現するには、3つの条件が必要です。

●MAS担当者に成果創出の「自信」が持たれている事
●経営者の「共感」を得ている事
●MAS担当者に成果創出の為の「工数」がイメージされる事

(1)MAS担当者に成果創出の「自信」が持たれている事

MAS担当者が成果創出の自信を持つには、その企業の「経営診断」をし、「成果を創出できるイメージを持つ」しかありません。その活動は、MAS受注後の初期段階の活動の簡易版と言っていいでしょう。
財務を読み、経営に関するヒアリングをし、課題形成をするといった「プレ・MAS」によって「自信」が生まれます。

「課題形成」とは、対象企業の収益性やキャッシュフロー改善のツボや改善の方向性が見えている事を指します。
財務分析と的確な経営ヒアリングができると次のようなイメージが出来てきます。

例)製造業A社の課題形成
 ・特注品の利益率向上と運転資金差の改善がCF改善の鍵である
 ・特注品は単価が取れるにも関わらず見積もりがあまいようである
  ☞積算基準を見直し、きちんとした見積もりをすれば利益率は上がる
 ・運転資金差は、仕入先B社の支払いサイトが交渉できるようである
 ・この2点で利益額○○万円と運転資金差△△万円の改善が期待できる

このようなレベルで、経営改善の方向性をイメージして提案するという事です。

また、そのような誠実な活動を踏まえた提案であれば、仮に契約できなくても経営者は感謝してくれますから顧問先には適した手法です。

(2)経営者の「共感」を得ている事

経営者の共感を得るには、その課題形成の過程を「共に考えながら進める」と良いでしょう。経営者とともに、次のようなスタンスで一緒に考えます。

●財務分析を行い、その原因を一緒に考える
●経営活動の問題点を一緒に考える
●何から改善すべきかという「課題形成」をし、対策イメージを共有する

このようなプロセスを踏めば経営者の共感が生まれやすいものです。
指摘ではなく、共に考える姿勢で臨むのがポイントです。

(3)MAS担当者に成果創出の為の「工数」がイメージされる事

工数積算とは、どんな支援をどの位の時間をかけて行うかを明らかにする事です。
その事で、提案金額に根拠が生まれ「提案金額に自信」を持つ事ができます。
例えば、次のようなイメージです。

(3)MAS担当者に成果創出の為の「工数」がイメージされる事

例)製造業A社の指導工数の積算
 ・指導段階では全科目の詳細な考察が必要:6時間
 ・社長にもっと詳しく財務の要因をヒアリングする:3時間
 ・工場見学:2時間×2回=4時間
 ・ヒアリング内容をもとに、単年度計画を作る:4時間
  ☞特注品の利益率向上と運転資金差の改善の活動を織り込む
 ・社員さんへの計画発表立会:2時間
  ☞テーマの役割をキチンと認識してもらう
 ・数値と施策のモニタリング:2時間×8回=16時間
 ・50時間×@15千円=75万円 (月6万3千円)

MAS受注のためのフローと概要

MAS受注ができる3つの条件(自信・共感・工数)を満たす、フローは以下の通りです。

●財務面の課題を事前に考察する
●夢・目標と問題意識を共有し、財務&経営ヒアリングを行い提案アポイントを頂く
●MASの効果効用を考える
●MASに必要な工数と金額を積算する

この準備の後、提案書をまとめ、提案する事になります。

(1)財務面の課題を事前に考察する

顧問先との面談前に財務分析からの重要な着目点を明らかにします。財務面の課題を経営者と話し合う論点をある程度絞っておく準備です。

下記の「財務改善の方向性」というフォーマットは、縦軸にキャッシュフローの構成要素である営業キャッシュフロー(売上・変動費・固定費・運転資金差)、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローという項目をとり、横軸に仮説、経営者ヒアリング、財務改善のポイントを取っています。

この中の仮説(科目名・数値・問題点)の欄にポイントをメモする程度の準備をすれば十分です。経営者ヒアリング、財務改善のポイントの欄は経営者との面談の際にご一緒に考えて埋めていく感覚で会話をする事により、「経営者がご自身で考える」ように誘導して下さい。

財務改善の方向性

(2)ヒアリング面談をし、提案アポイントを頂く

経営者との面談の際には、①夢・目標と問題意識のヒアリング②財務ヒアリング③提案アポイントのフローで進める事をお勧めします。財務から入るより、経営者の夢・目標や問題意識を先に話し合う方が面談がスムースに進む傾向にあります。また面談後には速やかに面談結果の整理と提案準備をして下さい。以下にその概要をご紹介します。

①夢・目標と問題意識のヒアリング

経営者の、思いや問題意識をヒアリングします。
まず、経営者の「経営理念、思い」や「ビジョン・ありたい姿」についてです。頑張って経営している理由や経営に関する思い、今後の目標像など経営者に感情移入してよく傾聴して下さい。必ずしも崇高な理念やビジョンでなくても結構です。経営者の今の思いが共有できれば結構です。

次いで「経営機能別の問題意識」を聞きます。
経営機能とは次のような財務という結果を生み出す経営の要素を指します。

●商品開発、生産・物流、営業、人事、財務、後継者 など

これらの経営機能の各項目について問題意識やありたい姿を傾聴して下さい。

●現状・問題点・ありたい姿・対策イメージ(社長の構想)

※無料会員登録をして頂き、MAS担当者養成講座「顧問先からのMAS受注」を試聴頂くと、この経営ヒアリングのフォーマットと記入事例がご覧頂けます。

②財務面のヒアリング

次に、用意した「財務改善の方向性」のフォーマットを使い、経営者と財務面の検討をして下さい。キャッシュフローの構成要素ごとに「経営者の見解」をヒアリングし「経営者ヒアリング」欄にメモをしていくようなイメージです。
ヒアリングが終われば、「財務改善のポイント・優先度」の欄について経営者と話し合い、改善の優先度を決めていきます。

財務改善の方向性2

③提案アポイント

このようなヒアリングスタイルで経営者と問題意識を「共同作業で共有」して、経営の支援者としてのポジションと共感を獲得したら、必ず「提案のアポイント」を頂いて面談を終えて下さい。提案のアポイントは、面談日から1週間程度の期間が妥当です。
問題意識と共感が冷めないうちに提案しましょう。

(3)提案書を作成する

①MASの効果効用を考える

夢・目標、問題意識のヒアリングと、財務ヒアリングで、社長と問題意識を共有したら、MASによってそれらをどのように解決できるかを考えます。提案時に訴求すべき「MASの効果効用」言い換えると「MAS契約の動機」を作りこむ作業です。
「収益性改善が確実に進む」といった効果効用以外にも「後継者が育つ」とか「組織で目標と施策を共有できて経営改善の推進力が増す」など色々な効果効用があります。
提案先企業にとって「MASに取り組む価値」を固有の表現で提案内容を考えてみて下さい。

②MASに必要な工数と金額を積算する

MASの効果効用が見えたら、その実現に向けた業務内容を工数を見積もり、時間単価を掛けて、MASの見積もり金額を算出します。
「現状分析」「改善策の起案」「計画策定」「モニタリング会議」など項目ごとにどの程度の工数が必要かを見積もります。
時間チャージは2万円を目標に、少なくとも1.5万円を目処に積算して下さい。

③提案書の作成

これまでの検討事項を提案書にまとめます。
「夢・目標、問題意識ヒアリング」「財務ヒアリング」「MASの効果効用」「MASの工数積算」などの情報を整理して提案書に反映します。
提案書の構成は、「表紙」「はじめに」「社長様の思い」「社長様の問題意識」「財務面の考察」「課題と解決のご提案(MASの効果効用)」「支援テーマとスケジュール」「費用のお見積り」といった内容が適切です。

※無料会員登録をして頂き、MAS担当者養成講座「顧問先からのMAS受注」を試聴頂くと、提案書のひな型と記入事例がご覧頂けます。

(4)提案会

提案会は下記のようなフローが適切です。
基本的に「2時間」程度のアポイントが必要とお考え下さい。

【提案会のフロー】
・アイスブレーキング
 :前回の面談を話題に出し、その時の気持ちを思い起こしてもらう
・提案
 :提案書の内容を経営者の理解・納得を得ながらお伝えする
・質疑応答
 :提案内容の疑問点や要望事項をヒアリングする
・クロージング
 :契約書を提示して契約を迫る
 :ハードル(金銭面・時期・幹部の説得など)を把握して対応方法を提案する

提案書ができたら、所内のどなたかに社長役になってもらい「ロールプレイング」したり、ご自身の提案を録音して改善点を修正するなど、事前のトレーニングをして訪問するのが望ましいと思います。

まとめ

このようにMASの提案活動は指導の初期段階に行う「経営診断の簡易版」です。
それは大切な顧問先の経営をより良くするための活動であると言ってもいいでしょう。
MAS受注が取れる取れないにかかわらず、積極的に「営業=経営診断の簡易版」を顧問先に提案しましょう。多くの場合、経営者の感謝の言葉が聞けると思います。
新規見込客との商談においてもこの方法は大変有効で高確率でMAS契約が実現します。

無料会員様には、この「営業手法の詳細」「経営ヒアリングフォーマット」「提案書のひな型」などをご覧頂ける、eラーニングを試聴頂けます。
また、MAS事業に成功しておられる会計事務所様の事例をお読み頂くとヒアリング型の営業と指導の効果を、よりイメージして頂けます。是非一度、ご研究下さい。

MASを会計事務所のビジネスモデルに組み込む価値

会計事務所業界ではMASの必要性を感じつつも、一歩踏み込む事に躊躇する皆様も多いように思われます。ここでは、会計事務所が顧問先の経営支援に本格的に取り組む価値をお伝えしたいと思います。
MASに取り組むべきか否か、ご自身の事務所の方向性を見出して頂きたいと思います。
是非お読み下さい。

MASによる企業の業績改善効果

私どもインターフェイスが会計事務所業界に本格的にMASの指導や営業のノウハウ、関連する組織モデルや管理モデルのノウハウを提供し始めたのが2008年ですから、もう11年の年が経過しました。
 ※この記事は2019年に書いています。

実は当初からMAS受注の可能性は全く心配していませんでした。顧問先という市場を持ち、会計を把握し、社会的信頼性の高い会計事務所が提案するMASが受注できない訳はないからです。案の定、弊社の会員事務所様ではどんどん受注が進みました。

私どもが一番心配していたのは、会計事務所がMASで本当に「企業に成果を提供して頂けるか」という点でした。MAS事業の継続性は「指導成果を提供できるか否かにかかっている」と言っても過言ではないからです。
大変嬉しい事に、その心配は全く無用でした。経営者と共に、会計データから事実を読み、その要因を現場に求め、改善点を明らかにして解決に臨んで頂くサービスであるMASが多くの指導成果を生み出しています。

経営支援をする企業の業績が改善されていくと、顧問料UPの下地にもなり会計事務所のブランド価値も向上します。「顧問先育成型」会計事務所としてのポジションが徐々に獲得できていきます。

このような取り組みと成果は、会計業界誌「月間実務経営ニュース」の連載記事で具体的にお伝えしています。

MASによる収入UPと新規拡大効果

(1)顧問先からの増収効果

仮に、200社の顧問先を持ち税務顧問料平均が年額50万円だとすると事務所の売上は1億円となります。
MAS契約は顧問先の概ね20%が可能で、平均MAS顧問料は年間80万円程度です。顧問先の20%の40社とMAS契約できると、3200万円の収入が生まれますので、年商1億円から1億3200万円と132%の増収となります。
顧問先への提案だけで、少なくとも130%程度の増収につながる可能性があるのです。

(2)MASによる新規拡大効果

経営支援ニーズのある企業の社長は、税務顧問より経営支援型顧問に関心を寄せます。
顧問先へのMAS提供・成果創出の後に、経営者仲間を紹介して頂いたり、成果創出できた企業のメインバンクの担当者から紹介を頂く事が可能になります。
その際には、「先にMAS契約をする」事をお勧めします。MASで1年ほど支援していると8割方の企業は税務顧問も一緒にという要望が出てきます。そうなると、税務顧問の価格競争もなく、適正単価で契約する事が可能になります。
もちろん中には税務とMASをセット契約したいという企業さんもありますので、その際には適正価格で契約頂けばよいと思います。

MASの市場性

 

(1)MASは経営コンサルティングと会計支援の業際ビジネスである

このようなMASは、経営コンサルティングとは少し異なります。財務や会計のみを活用したコンサルティングとも異なります。管理会計技術を駆使し経営コンサルティングの知識を加味してコーチングスタイルで「経営者の問題意識と解決策・行動変容を引き出す」サービスです。言わば、経営コンサルティングと税務・会計コンサルティングの間にある業際マーケットです。

MASをビジネスモデルに組み込む

(2)MASの潜在市場

サービス産業動向調査のデータによると、会計事務所の市場は約1兆6000億円です。
私どもは、MASの潜在市場を約1000憶円とみています。
※350万社✕3%≒10万社、10万社✕@100万円=1000億円という概算です。
上記算式の普及率が高まり単価が高くなった場合、1500億円~2000憶円の市場になると考えますが、ここではわかりやすく、1000憶円市場として計算します。

MASの市場は、税務の市場に比べると小さな市場かもしれませんが、MASに取り組む事務所は左程多くありませんから、1事務所あたり売上で計算するとMASの方がビジネスメリット大きい事がお分かり頂けると思います。

●税務の1事務所あたり市場
1兆6000億円÷30,000事務所=1事務所あたりの売上は約5000万円
●MASの1事務所あたり市場(1000億円で計算)
1000憶円÷500事務所=1事務所あたり市場2億円
1000億円÷1000事務所=1事務所あたり市場1億円

MASだけで税務の2倍~4倍の潜在マーケットの発掘にチャレンジできる事になります。

しかもこれまでインターフェイス会員事務所様で、MASで相見積もりになったというケースは皆無です。失注はあっても競争が発生する市場ではない訳です。

更に、MAS新規契約後1年以内にほとんどの企業から税務顧問契約を依頼されますので事務所あたりの市場は更に大きなものになってきます。
経営支援力のある会計事務所はブルーオーシャン市場を手に入れたと言っても過言ではないでしょう。

MAS事業化成功事例は「事業化事例税理士法人ブラザシップ様」をご覧ください。

MASによる組織のイノベーション

 

MASで指導成果を提供できるようになると、会計事務所に大きな自信が生まれます。
何とか顧問先の業績が良くなって欲しいと強く願う会計事務所にとって、自らの支援で顧問先の業績が改善できると、こんなに嬉しい事はないと思います。

ただ、監査担当者全員がMASができるとは限りません。
インターフェイスは会計事務所が組織として経営支援に取り組めれば良いと考えます。
税務や記帳代行が得意な方はその分野で生産性を高め、税務顧問の受け皿をつくるというミッションに取り組まれ、MASがお得意な方はそちらで付加価値を上げるというような取り組みです。得意分野で活躍するという考え方です。

多くの監査担当者がMASに取り組める事務所もあります。その場合、税務顧問サービスの生産性向上(MASの時間捻出)が必要になります。
どの形であっても、MAS事業化をキッカケにして、組織の生産性向上やスキルアップなどのイノベーションを起こせるというのもMAS事業化の大きなメリットだと考えます。

会計事務所の生産性に関しては「生産性向上の考え方と時間分析」をご覧ください。

最後に

会計事務所の強みである会計を武器にコンサルティングノウハウを加味すれば、企業に大きな経営改善成果を提供できます。
その事が、事務所の高付加価値化・高収益化と経営支援型事務所としての組織の自信につながればこんな嬉しい事はありません。是非MASへのお取組みをご検討下さい。

インターフェイスが考えるMASについて詳しくは関連記事「MASの定義とサービスの概論」をご覧ください。

ITO(情報技術最適化)の需要拡大

AI・クラウド適応型の会計事務所には、そのノウハウが蓄積されます。一方あらゆる業界で起きているAI・クラウドの波に取り残される中小企業が多くあります。
その中小企業のITO(Information technology optimization:情報技術最適化)の支援に取り組む事で会計事務所には大きなビジネスメリットが生まれます。

AI・クラウドがもたらす会計事務所への影響は、仕事が無くなるのではなく仕事が変わる事です。AI・クラウドでねん出された時間を経営支援にあてたり、中小企業のITO支援にあてたり、むしろ高付加価値化への絶好のチャンスとなります。

ご自身の事務所の方向性を見出して頂きたいと思います。是非お読み下さい。

ITの恩恵を享受する若手会計事務所と業界への影響

ITリテラシーの高い若手会計事務所では、IT技術・ツールを駆使したサービス提供が進んでいます。それらは単なるクラウド会計の活用という範疇にとどまらず、会計事務所のサービスモデルそのものの変革であり、顧問先の業務革新を促す取組みでもあります。

●資料のやりとりは、dropbox:ドロップボックス(注1)を活用
●質問やコミュニケーションはChatWork:チャットワーク(注2)を活用
●面談はskype:スカイプ(注3)やzoom:ズーム(注4)といったネット会議で行う
●顧問先の売掛帳・買掛帳・経費帳をGoogle スプレッドシート(注5)に入力してもらい
リアルタイムに共有
●完成したデータをクラウド会計ソフトにインポートして試算表を作る

などの取り組みです。
このような徹底した合理的な仕組みでローコストなサービスを提供可能にし、新設法人やスモールビジネスの顧問料の低価格化につながっています。

多くの会計事務所の顧問先である既設法人の価格破壊に即つながるとは考えにくい状況ですが、将来の優良企業が生まれる可能性のある新設法人やスモールビジネスをITフル活用型の会計事務所が囲い込み、将来の優良企業候補を生み出す可能性は高いと思われます。

(注1)Dropbox:ドロップボックスは、アメリカのDropbox, Inc.が提供しているオンラインストレージサービスである。オンラインストレージとローカルにある複数のコンピュータとの間でデータの共有や同期を可能とする。
(注2)ChatWork(チャットワーク)とは、ChatWork株式会社が提供するクラウド型ビジネスチャットツールである。メッセージのやりとりだけでなく、タスク管理やファイル共有、ビデオ通話などが可能である。
(注3)Skype(スカイプ)は、マイクロソフトが提供するインターネット電話サービス。
(注4)Zoomは、アメリカのZoom Video Communicationsが作ったWeb会議システム。
(注5)Google スプレッドシートは、Googleが提供する表計算クラウド。

今後の会計事務所に影響を与える可能性のあるIT技術

更に今後会計事務所に影響を与えそうなIT技術があります。

●OCR(Optical character recognition:光学文字認識)
●RPA(Robotic Process Automation)
●AI(Artificial Intelligence:人工知能)

OCRは紙をスキャンした情報を画像認識し、AI技術により文字情報として認識しデータ化する仕組みです。手書き情報の識字率が95%を超えるものも登場しており、人の入力の正確さを超えるというから驚きです。

更に、手作業で行っているシステムの操作を自動で行えるRPA(Robotic Process Automation)により、データの自動的な処理が実現できるようになりつつあります。

これは紙の証拠書類を見ながら会計ソフトに仕訳入力するという作業を大きく変えるものになるでしょう。

AI・クラウドが会計事務所の仕事を無くすのではなく、会計事務所の業務を大きく変える時代が到来したと言えます。顧客構造や組織体制が異なる会計事務所ではそれぞれの体質や経営目的にマッチしたITO(Information technology optimization:情報技術最適化)を実現するための研究を進めるべきだと思います。

同時に顧問先のあらゆる業界で、AI・クラウドが普及

会計業界同様に多くの業界でAI・クラウド化が進み、業務のIT化を推進せざるを得ない状況になってきます。
これらのIT活用は顧問先企業にとって、業務スピード・顧客満足度・経営管理レベルの差となり収益性の優劣を決める要因にもなってきます。

例えば、飲食店ではタブレットを活用したPOSレジが普及し、会計ソフトと連動するだけでなく、飲食店経営に必要な様々なKPI((key performance indicators:業績評価の重要管理指標)が瞬時に見れるようになっています。重要な管理対象である人件費もクラウドでシフト管理・人件費管理ができるようになっています。

建設業でも、図面や現場写真を共有でき、本社からの指示や現場からの報告をクラウド上で共有できる安価なシステムが普及しつつあります。仕事と職人をつなぐビジネスマッチングクラウドも大きく伸びています。
これらのクラウドシステムが各業界で普及するとビッグデータが蓄積され、AIを活用した様々なサービスが展開されるようになるでしょう。
このような顧問先企業を取り巻く、IT・AI・クラウドの環境変化が顧問先企業の経営に変化を与え、会計事務所により大きな変革を求めるようになる可能性を秘めています。

ITO(Information technology optimization:情報技術最適化)のビジネス化

このような顧問先企業のITに関する環境変化に対し、会計事務所が積極的に支援する立場になるか否かで、大きく顧問先との関係性が変わってきます。
ITO支援そのものがコンサルティング料として成り立つようにもなるでしょうし、ITO支援により顧問先の業績が良くなり顧問料UPにつながる可能性も十分にあります。

更に、ITO支援コンサルを武器として新規顧問先拡大して、税務顧問契約やMAS契約につなげる事も可能でしょう。
会計事務所は自らのITOを急ぎ、そこで蓄積されたノウハウを武器にマーケティングを展開する事が可能になります。
もちろんIT技術の進化は速いため、全てを自らの事務所で研究開発するのには限界があると思います。信頼できる専門家や団体とのコラボレーションでビジネスモデル化を図る必要があると思います。

インターフェイスでは、士業と顧問先企業のITO(情報技術最適化)のための団体の立ち上げに協力しています。詳細は別途ご案内差上げたいと思います。

最後に

ITや通信のテクロジーの進化は、会計事務所はもとより顧問先企業の経営に大きな変革をもたらします。
それを脅威として捉えるのでなく、機会として捉え自らの経営をイノベーションするところに経営の面白さがあります。
テクノロジーの進化を前向きに受入れ、新しい時代のビジネスモデルを創造して頂きたいと願っております。

高付加価値化3つの展開軸

会計事務所にとって高付加価値経営は、事務所収益にも人材定着・確保・活性化にも必須となるテーマです。人的サービスが中心のビジネスモデルでどのように高付加価値経営を実現していくか、その為に取り組むべき3つのテーマをお伝えします。
ご自身の事務所の方向性を見出して頂きたいと思います。是非お読み下さい。

高付加価値化3つの展開軸とは?

会計事務所が高付加価値経営にシフトしたいと考えたとき、まず時間的なハードルが出てきます。「今の仕事で忙しく手一杯」「納期に追われて大変」といった類のハードルです。
ですから、高付加価値経営にシフトするためには、その為の時間を捻出するためにルーチンワークを極力減らすことが重要になります。

次いで、正職員さんの高付加価値化の具体的な方法論が必要になります。
会計事務所では顧問先の要求に合わせて顧問料の範囲で様々な業務を請け負うという機会損失が発生しているケースもあります。
その機会損失を無くすことから取り組む事が必要な場合もあります。
法人顧問の場合、高付加価値化の具体策は経営支援型サービスが適切である場合が多いものです。経営者が適正な対価を支払っても良いと感じる経営サービスの事ですから、当然スキルアップを伴うものです。

また、会計事務所は手を動かして付加価値を稼ぐというビジネスモデルですから、何か成果物を提供しないと企業に貢献した気がしないという特性があります。素晴らしい顧客構造を活かして、経営者の役に立つ手を動かさないサービスも検討すべきです。

以下、詳しく見ていきましょう。

ルーチンワークを極力減らす

ルーチンワークとは、繰り返し発生する日常業務の事を指します。
会計事務所におけるルーチンワークとは、「資料入手」「会計入力代行」「移動」の他、一見知的業務とみられる「税務監査業務」も同じ会社の同じような毎月の処理の間違いを探しているというルーチンワークとしての要素が含まれます。

このような業務の時間短縮を図り、超ローコストにするための切り口は3つあります。

(1)自動化

昨今のクラウド会計の台頭は、会計処理の自動化を促す流れを生んでいます。
現段階で普及しつつある自動化は以下の通りです。

●AI・クラウド会計
特定の証拠書類が過去のデータから類推され仕訳が自動で提案されるような仕組みや、請求書の発行から自動で売上・売掛金が計上され、かつネットバンキングデータの取り込みで自動で消込みされるような仕組みが出来ています。
●OCR(Optical character recognition:光学文字認識)
紙の情報をOCR技術でデータ化される仕組みも出現し、手書きからの識字率が90%を超えるシステムも出来ています。
●RPA(Robotic Process Automation)
特定のデータを望む場所に自動でコピぺするような機械的指示ができるRPA(により、システムを作れない人にもシステム上にあるデータの自動的な処理が実現できるようになりました。

まだ一部の事務所での取り組みではありますが、このようなIT技術や仕組みを有効に使い、業務の自動化を進めルーチン業務を超ローコスト化する動きが加速しています。

(2)アウトソーシング

ルーチンワークをアウトソーシングする事でローコスト化する方向性です。
従来からある代表的なアウトソーシングは「会計入力の代行サービス」でしょう。
それも様々なモデルが出てきています。

●海外のマンパワーを活用したモデル
●国内の地方人材を活用したモデル
●受託後、可能な限り既述のIT技術を駆使した代行モデル
●テレワークを活用した代行モデル

今のところ会計入力のアウトソーシングがメインだと思いますが、今後は

●取引内容の確認
●資料送付・不足資料の督促
●会計システム等へのQ&A

など様々な会計事務所業務のアウトソーシングが進んでくる可能性があります。

アウトソーシングの単価は一見高く見えるように思われますが、正社員による業務の場合、「採用」「教育」「給与・関連人件費」「家賃」「システム」などのコストがかかっており、「採用した人材が育たずに退職した」といったコストを加味すると案外アウトソーシングの方がメリットがある場合も多いものです。

(3)やめる

やめる、という切り口で最近増えているのが次のような業務です。

●来社面談
●ネット会議面談

これは訪問面談のための「移動工数をゼロにする」目的で導入が増えています。
ネット会議は、普及率が高いskypeの他にZOOMなどの機能性の良いシステムが増えてきて更に便利になってきています。
実は、来社面談やネット会議面談を導入する副次的効果があります。それは「雑談が減る」という現象です。資料の事前共有による時間短縮の他、面談時間も効率的になるのです。
勿論、フェイスtoフェイスの大切さもあります。社長の奥様やお母様との雑談も関係性の維持という点では大事かもしれません。それはそれで移動途中に別途少しお伺いするなど、代替え案もあると思います。
また資料のやりとりも、会計事務所専用のグループウェアのデータ共有システムでやり取りしたり、dropboxなどの汎用的なデータ保管システムを活用する例も増えてきています。

このように、会計事務所のルーチンワークを「可能であればゼロ」に、それが難しくても「超ローコスト」にする動きは会計事務所高付加価値化の為に必要不可欠な取り組みになると思われます。

正職員は高付加価値業務にシフトする

(1)機会損失をなくす

会計事務所の強みであり、かつ弱みになっている点が「顧客の意向に沿って何でもサービスしてしまう」という習慣です。

●本来顧問先が行うべき契約となっているにも関わらず「記帳の代行」をしてしまう
●「中途半端な自計化」の修正代行
●売掛金の妥当性の検証(突合)
●手形管理の代行
●経営管理のために社長が見たい資料の作成
●銀行への提出資料の作成

このような税務顧問サービスに関連する「本来顧問先が行うべき業務」を「無償で提供」しているという体質です。
顧問料が高い水準の時代ならそれも許容できますが、顧問料の維持が容易でなくなる時代にはそのような事では工数削減など程遠い話になってしまいます。
換言するとそのような体質は、頂くべき収入を逸する「機会損失」を生んでいると言わざるを得ません。

この問題の解決には「サービスのメニュー化」と「無償サービスの有償化」が不可欠です。

「サービスのメニュー化」とは、

●提供するサービスを項目に分け
●それぞれのサービスにプライスを付ける

という事です。

「無償サービスの有償化」とは、

●メニュー化されたサービスとそのプライスに添って
●顧客に商談を行い適正な価格に修正して頂く

という事です。

但し、顧問先との交渉、即値上げと容易にはいきません。

例えば本来顧問先が行うべき記帳を代行している場合、再度経理処理のレクチャーをして、一定期間自社で実施してもらい、それでも難しい場合は「記帳代行というメニュー」を採用してもらい然るべき料金を頂くという期間を置いた取り組みが必要です。

この取り組みをして頂いた多くの事務所では、顧問先の納得を得ながら顧問料の機会損失を無くす事(増収)に成功しています。

生産向上性については関連記事「生産性向上の考え方と時間分析」をご覧ください。

(2)経営支援(MAS)への取り組み

これまで会計事務所では、顧問先の成長(取引数の増加)や高収益化の結果、顧問料が上がってきました。また反面顧問先の経営が悪化すれば顧問料を下げざるを得ない事もありました。これは言わば、「顧問先の経営力に依存した経営」とも言えます。
これからは、「顧問先の成長や高収益化を支援」する事により、その結果として顧問料が上がっていくような取り組みをすべきだと言えます。「顧問先育成型の会計事務所」を目指すべきではないかと思います。

会計事務所は、

●経営活動の事実が記録された仕訳や証拠書類
●顧問先が置かれている経営環境
●組織の現状

などを知り得るポジションにいます。

その情報を社長と一緒に解析し、より良い経営をするサポートをすれば必ず企業の業績は良くなります。
業績が芳しくない企業の業績改善はもとより、成長可能性の高い企業の確実な成長経営の実現の支援、事業承継期の企業の後継者育成や陳腐化したビジネスモデルを作り直す支援も可能です。
このような取り組みで企業業績の向上とともに会計事務所の収入も増える事になります。
会計という武器を制度会計だけでなく、管理会計に活用する支援をするだけで「顧問先育成型会計事務所」というスタイルで増収が可能なのです。
更に、顧問先を育成できる会計事務所は顧問先からの口コミ紹介が増え、その実績を見た地域の銀行などからの紹介も増え、顧問先の新規拡大にもつながっています。

(3)MAS担当者だけでなく、監査担当者も経営支援力が必要に!!

これまでMASは一部の経営支援に関心の高い監査担当者が取り組んだり、専任のMAS担当者を配置してサービス提供するというのが一般的でした。
しかし、多くの会計事務所が「経営支援力」をPRし、その事で新規拡大をはかる傾向にあり、普通の監査担当者も一定の経営支援力を持つべき時代になったように感じます。
MASには、大きく4つのレベルがあります。

●レベル1
財務数値(勘定科目レベル)の計画と目標管理・行動管理を通じて顧問先の経営
者と「経営の会話」が行えるレベル
●レベル2
セグメント会計(PⅬの内訳明細や部門別損益)やKPI(key performance indicator:業績評価の重要管理指標)を活用した計画と目標管理・行動管理を行えるレベル
●レベル3
上記のデータをもとに、ロジカルに課題形成をし、傾聴力を駆使して改善を推進
できるレベル(改善アイデアを引き出すコーチングサービス)
●レベル4
新たなビジネスモデルやマーケティング再構築の支援ができるレベル

普通の監査担当者も、できればレベル2、少なくともレベル1の経営支援ができるようになる事で、他の事務所と大きな差別化になり、新規顧問先拡大や高付加価値経営に貢献することになります。
所内にレベル3以上の経営支援ができる職員さんがいれば、他の職員さんがレベル1・レベル2に引き上げる支援をできる仕組みを構築すると良いと思います。

詳しくは関連記事「MASを会計事務所のビジネスモデルに組み込む価値」をご覧ください。

手を動かさないキャッシュポイントを増やす

会計事務所は、試算表・決算書・申告書及び付帯資料の作成といった「成果物」をつくる為に手を動かして顧問料を頂くビジネスモデルです。

このビジネスモデルは、顧問先との関係性を構築しそれを維持するためにとても有効なものですが、その反面「顧問先が増えるほどマンパワーが必要」になるモデルです。
今後、会計事務所が高付加価値経営を志向する場合、ひとつの重要な視点が「手を動かさないキャッシュポイントを増やす」という点です。
しかしそれは全て「顧問先の経営課題の解決につながり」「顧問先が大変満足する」という視点が不可欠です。顧問先の経営課題の解決につながる、いわば「課題解決型フィービジネス」をビジネスモデルに組み込むのです。
課題解決型フィービジネスを設計する手順は以下の通りです。

(1)顧問先を導くゴールを描く

まず必要なのは顧問先を導くゴールを設計しましょう。
とは言え、様々な業種・規模の顧問先があり導くゴールは多様かもしれません。
その場合は、顧問先をグループ化してそれぞれのゴールを設計すべきでしょう。
例えば、新設法人中心の会計事務所で、「年商1億円の達成」といった顧問先を導くゴールを設定したとしましょう。そうすると税務顧問サービスだけでそのゴールに導く事は難しい事に気づきます。

●受注構造の構築に必要な人脈の提供
●資金安定化の為の融資支援
●財務計画とモニタリング

が必要かもしれません。

また、例えば財務の状態が芳しくない年商2~5億円程度の企業が多い場合、「経常利益率10%の達成」といったゴールを設定したとしましょう。

既述のMAS以外にも、

●コストダウンサービス会社の紹介
●経営状態をミエルカする為のシステム会社の紹介

など、機会損失の低減に向けた優良なサービスを紹介する必要があるかもしれません。
顧問先をどのような状態に導きたいのかという「ゴール」とそれに「必要な課題解決策」を考えると新サービスが生まれ、それを自ら提供するのではなく、「優良な企業とタイアップして提供していく」という視点で検討されるとよいでしょう。

(2)課題解決型フィービジネス

課題解決型のフィービジネスのカテゴリーは次のようなものが考えられます。

①コストダウン系
最近は様々なコストダウンサービスを展開する企業が増えています。コピーや消耗品・光熱費削減はもとより、店舗に必要なBGMやマットモップ、家賃削減、保険料削減等々、コストに関するデータベースを駆使してコストダウンを実現する優良サービスを提供する企業です。このような企業とパートナー契約を結び、診断・対策を実施してもらいパートナー企業が得た利益の一部をシェアしてもらうモデルです。

②マーケティング・セールスプロモーション系
中小企業では、最適なHPやwebマーケティングが出来ていないケースが多いものです。また、マーケティング支援会社の品質や価格は千差万別で良し悪しの判断がつきにくく、高い買い物や不良サービスにお金を費やしている中小企業も多いものです。
会計事務所がそのような業者の評価を行い、最適なマーケティング支援企業を顧問先に紹介し、その利益の一部をシェアしてもらうモデルです。

③システム系
企業が年商1億円を超えてくると末端の経営状態が見えなくなり最適な経営情報管理ができるシステムが必要になります。システム開発のコストは大変わかりにくく、中小企業ではなかなか最適な判断ができません。また顧問先のあらゆる業界でもクラウド化が進み、どのクラウドを選択すべきか判断に迷うケースも多いものです。
本当に信頼でき適正価格でサービスを提供するシステム会社を選択し中小企業に紹介するのも重要な役割だと思います。

④労務・人事・組織系
中小企業の経営者にとって人に関する悩みは尽きません。労務対策はもちろん、採用・育成・活性化の為の優良なコンサルタントをご紹介できるのも重要な役割だと思います。
私見ですが、人事・組織コンサルは大手コンサル会社が良いとは言えず、中小企業の実態を理解し、現実的な支援ができるコンサルを選ぶことが重要です。

⑤金融系
融資支援はもはや当たり前のサービスだと思います。これからはクラウドファンディングも進化したり、オンラインのファクタリングサービスも増えて資金調達の多様化が進むと思います。それらの業者を研究し最適な情報を提供するのも重要な業務になると思います。
金融機関からのフィーは難しいと思いますが、成功報酬などの形で企業からフィーを頂く事は出来ると思います。

最後に

会計事務所の保有資源を活かし顧客に貢献する高付加価値経営

会計事務所は顧客構造という素晴らしい経営資源と社会的な信頼性があります。
ルーチンワークを極力減らし、顧問先企業の経営メリットを提供するような、高付加価値業務や課題解決型フィービジネスを加味すれば、他の業界にない高付加価値経営が実現します。是非一度、今後の事務所のビジネスモデルをじっくりとご検討頂きたいと思います。

多極化する会計業界

会計事務所業界は2012年~2016年には124%成長をしていますが、その成長率や今後のマイナスの経営環境を考えるとやはり成熟業界であると言えます。
一般的には成熟業界ではいくつかの成長経営を実現するビジネスモデルが現れます。
ここでは、今後成長可能性のあるビジネスモデルをお伝えします。ご自身の事務所の強みや商圏特性などを考慮し、最適な戦略を見出して頂きたいと思います。是非お読み下さい。

成熟産業では成長するモデルが分かれる

一般的に成熟業界では、競合他社と差別化して成長経営を実現しようとする取り組みがなされ、様々なビジネスモデルが生まれ、その中で「成長性」「収益性」そして「働く人のやりがい」といったいくつかの要素のバランスを満たせるビジネスモデルがいくつか残る傾向にあります。
会計事務所業界は約3万事業所が存在する超分散型業界であり、地域密着型事業ですから、「地域✕モデル」で成長する事務所が出てくるでしょう。
即ち、成功ビジネスモデルが各地域で展開される「多極化」の傾向を見せるでしょう。
また地方都市では、ひとつのビジネスモデルだけで十分な成長が難しく、複数のビジネスモデルを組み合わせて成長していく事務所も出てくるでしょう。
事務所の強み、商圏特性などを十分に考慮し、ご自身の事務所にとって最適なビジネスモデルを選び推進していって頂きたいものです。
ここではいくつかの成長可能性のあるビジネスモデルを提示します。

ローコスト拡大モデル

ここで言うローコスト拡大モデルとは、単なるディスカウンターではありません。
ローコストでも利益を出せる内部体制や契約方式をビジネスモデルとして確立した戦略手法で、例えば以下のような取り組みがなされています。

●移動工数削減のための来社面談
●通信手段を用いたコミュニケーションの仕組み
●web上での資料のやりとり
●記帳代行工数削減のための自動化・外注化  など

このような様々な取り組みで、「顧問料は安くても時間チャージが確保できるモデル」を構築して市場を拡大する戦略です。

創業間もない事務所やwebやITに強い事務所で、一定の収益や顧客構造を確保する際には有効なビジネスモデルであると言えるでしょう。

ただし、組織的な事務所経営を志向する場合、ローコスト拡大のままでは件数の拡大でしか売上を伸ばせないので「職員が疲弊」したり「将来への夢が持てない」という状況になってしまうケースも多くあります。
どこかのタイミングで、高付加価値化への取り組みも必要になると思います。

ローコスト拡大モデルのターゲットは主として、新設法人・スモールビジネスでしょうから、付加価値アップの方向性は、次のようなものになるでしょう。

●融資支援
●財務モニタリング
●成長経営支援

適切なタイミングでこのような機能を持ち、「顧問先育成型事務所への転換」を目指す道もあると思います。

特化モデル

 

特化モデルには大きく3つの特化領域があります。

(1)テーマ特化

資産税、海外税務といった成長性があり高付加価値な特定分野に特化した戦略展開です。
既に多くの事務所が展開している戦略ですが、まだ市場成長の余地があり、取り組み次第ではまだ面白い戦略ですね。
テーマ特化には専門的な人材が必要ですので、

●人材確保の仕組みを持つ
●独自の人材育成の仕組みを持つ

などの取組みが必要です。
そうは言っても人材確保も育成も容易ではありませんので、

●ルーチンワークの工場化・自動化・外注化

といった施策で、優秀な人材が付加価値業務の稼働率を高められる施策が必要と思われます。
また、地方都市ではテーマ特化だけでは十分な市場がなく、他の戦略との組み合わせが必要になると思われます。

(2)業種特化

医療・建設・飲食・美容・ITといった特定の業種に特化して拡大する戦略です。
業種特化のメリットは以下の通りです。

●業種ならではの情報やノウハウが蓄積され生産性の高いビジネスモデルが構築できる
●会計データだけでなく業種固有のKPIデータのデータベース化ができる
●その分野に詳しい人材を育てやすい

これらは、付加価値業務としてのコンサルティングにも応用できるノウハウ・情報資源です。
業種特化でローコストだと生産性向上につながらず、職員の疲弊に繋がる可能性がありますので、業種特化だからこその高付加価値型モデルを追求する事をお勧めします。

また、永久にひとつの業種に特化し続ける必要はありません。ひとつの業種で一定量の顧客構造を構築出来たら、類似したマネジメント要素を持つ別の業種にチャレンジするのも良いと思います。

●ひとつずつ業種特化を成功させる、複数業種特化モデル

も大変おもしろいビジネスモデルになるでしょう。

(3)ステージ特化

 

新設法人・成長期・事業承継期といった企業の成長のステージに特化する戦略です。
それぞれ次のような支援を行うビジネスモデルが出現しています。

●新設法人
スタートアップ時の最低限の経営管理体制構築、創業融資、財務モニタリング支援
●成長期
売上拡大に伴う資金安定化、組織成長に伴い見えなくなる経営をミエルカするIT支援
●事業承継前
後継経営者の選定・育成、事業承継計画、各部門の承継(若返り)
●事業承継後
3つの作り直し支援
(ビジネスモデルの作り直し、組織の作り直し、バックオフィスの作り直し)

どのステージをターゲットとするかについては事務所の人材のスキルも大きく影響します。
例えば未経験の新人が多ければ、やはり新設法人の方がやりやすい、といった事です。
事務所の商圏特性、組織面での強み・弱みなどを考慮して選択したいものですね。
もちろん、豊富な人材を有する事務所の場合は、複数のステージ特化を推進してもいいと思います。

高付加価値化については関連記事「高付加価値化3つの展開軸」をご覧ください。

経営支援型モデル(顧問先育成型会計事務所)

これはインターフェイスが提唱しているモデルで、法人市場を中心とする全国の会計事務所で汎用性がある戦略で、会計という強みを業績改善につなげるように活用して企業を育成する「顧問先育成型モデル」です。
もちろん税務とは別にコンサルティング料を頂くモデルですから高付加価値型の経営が実現でき、指導成果により口コミ紹介が増えるモデルです。
このモデルは、関連記事「MASをビジネスモデルに組込む価値」で詳しくお伝えしますので、関心のある方は是非ご研究下さい。

IT支援型モデル

会計業界に大きな影響を及ぼすテクノロジーの進化は、顧問先のどの業界でも起きている現象であり、多くの中小企業はその対応ができず悩んでいます。ITに精通した社員を雇用できれば別ですが、難しいのが現状でしょう。
このテクノロジーの進化を経営に組み込んだ企業とそうでない企業には大きな収益性の差が生まれて然るべきです。
そのITの最適化支援を会計事務所が出来るようになれば大きな差別化になります。
IT支援は専門性があるため、漠然と取り組むことは難しいと思います。
例えば次のようにステージ別や業種別に絞り込んでIT支援を行えばノウハウの蓄積も早く営業効果も高いと思われます。

●業種別の場合 例)飲食店
POSレジ導入支援とクラウド会計の連動でバックオフィスを合理化し、KPIも見えるように支援する
●ステージ別の場合 例)事業承継後
高齢化したバックオフィスの人材の承継に関連して、複数のソフトの連動やクラウド化・自動化の支援をする など

IT支援については、関連記事ITO(Information technology optimization:情報技術最適化)の需要拡大でも詳しく触れています。

最後に

このように、成熟期にある会計事務所業界の成長ビジネスモデルはひとつではなく、色んなパターンが出てきます。ここに記載したビジネスモデル・アイテムに地域密着型ビジネスである点を併せ考えると、今後、会計事務所業界は、

二極化から、「多極化」へと進み、最適な戦略を持つ事務所が成長する。
そして、イノベーションしない事務所が縮小する

と思われます。

また、戦略の選択及びビジネスモデル化の際に、大変重要な事があります。
それは「高付加価値化を意図する」という事です。
会計事務所は、まだまだ人的サービスに依存する事業です。
例えば「移動時間を短縮」するために来社型契約やチャットワーク等の通信手段を使ったコミュニケーションを導入したり、「記帳業務を合理化」するためにAI・クラウド会計やOCR活用の取組みをしたりしても、最後は結局「人と人の接触によるサービス」が付加価値を生むことになります。
その人的サービスがローコストであれば必ず「一番大切な人材」に疲弊感や将来への夢が持てない組織となってしまう可能性があります。
「人的サービスを高付加価値にするビジネスモデル」が組み込まれる事が今後の成長経営にとって大変重要な事になると思います。